60代以上は要注意! 運動しすぎて老化が進むことも。和田秀樹先生が寝たきり防止のため鍛える筋肉は?

大きい筋肉は下半身に集中している

私の「運動の適量」は、1日3000歩程度歩くことと、1日10回のスクワットです。

主な目的は、血糖値の調整です。

どちらも、脚に重点を置いた運動です。というのも、人間の体のなかで大きい筋肉は下半身に集中しているからです。脚に筋肉をつけると効率よく糖を消費してくれるので、血糖値を下げるのにちょうどいいのです。

みなさんも、60歳からは、今まで以上に、脚を鍛えることを意識しましょう。筋トレをする人は、ともすると腕の筋肉や胸筋や腹筋など、目につくところばかり鍛えがちですが、筋肉量の多い部分を鍛えるほうが代謝も進みますし、将来起こり得る「ロコモティブシンドローム」(歩けなくなったり、寝たきりになったりする状態)を防ぐことができます。

階段を使って「ブレーキ筋」を鍛えよう

脚の筋肉には、「落ちやすい」という特徴もあります。

とりわけ落ちやすいのが「ブレーキ筋」です。

たとえば階段を降りるとき、足が柔らかく着地できるよう加減をする筋肉がブレーキ筋です。太ももの大腿四頭筋などが代表格です。

ブレーキ筋の衰えを防ぐには、やはり階段を歩くのが一番です。手摺りにつかまりながら、昇るよりも、降りることを重点的に行いましょう。

もう一つ、男性の方に知っておいていただきたいのは、男性ホルモンが減ると筋肉がつきにくくなるということです。筋トレの効果が出ないときは、男性ホルモンの値を調べてみましょう。もし不足していたら、男性ホルモンを補充することで筋肉がつきます。

<POINT>
つらい思いをしてまで運動すると、かえって体が老化する。楽しくできる範囲で、下半身を意識して行うのが効率的。

 

和田秀樹
精神科医。1960年、大阪府生まれ。1985年に東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院、国立水戸病院、浴風会病院精神科、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て、現在、立命館大学生命科学部特任教授。映画監督としても活躍している。1987年のベストセラー『受験は要領』以降、精神医学・心理学・受験関連の著書多。近著に『老いの品格』『頭がいい人、悪い人の健康法』(ともにPHP新書)、『50歳からの「脳のトリセツ」』(PHPビジネス新書)、『60歳からはやりたい放題』『60歳からはやりたい放題[実践編]』(ともに扶桑社新書)などがある。

※本記事は和田秀樹著の書籍『60歳からは、「これ」しかやらない 老後不安がたちまち消える「我慢しない生き方」』(PHP研究所)から一部抜粋・編集しました。
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