『「小さな私」の癒し方 幼少期の記憶で人生は9割決まる』 (心理カウンセラーmasa/KADOKAWA)第4回【全8回】
「なんだか生きづらい」「いつも同じようなことで悩んでしまう」と感じることはありませんか? もしかしたら、その原因は幼い頃の記憶にあるのかもしれません。書籍『「小さな私」の癒し方 幼少期の記憶で人生は9割決まる』(KADOKAWA)は、過去の経験、特に幼少期の記憶が、今のあなたの感情や行動に深く影響を与えていることを優しく解説します。「あの頃の小さな私」が抱えていた悲しみや不安、満たされなかった気持ちに気づき、理解することで、長年の心の痛みが少しずつ癒されていくはずです。より穏やかで自分らしい生き方を手に入れるためのヒントが詰まったこの本の中から、ありのままの自分を受け入れるための方法をご紹介します。
※本記事は心理カウンセラーmasa著の書籍『「小さな私」の癒し方 幼少期の記憶で人生は9割決まる』から一部抜粋・編集しました。
幼少期の記憶で人生は9割決まる
ここで、リトル・ミーがいる、私たちの心の仕組みについて、少し説明をしましょう。
私たちの心は、「顕在意識(理性)」と「潜在意識(無意識)」という2つの意識から成り立っていると聞いたことがある方も多いでしょう。
潜在意識の存在は、19世紀にオーストリアの心理学者、ジークムント・フロイトによって発見されました。
フロイトは、催眠術をかけられた患者さんが、それまでに語ったことのない記憶について話す様子を見て、日ごろは意識されることのない「無意識」に気づいたと言われています。
顕在意識は、表面意識とも呼ばれ、私たちが「今日のランチはこれにしよう」「あの人は、こんな性格だな」などと、意識的に考えたり、選択したり、判断したりするときの意識です。
一方で潜在意識は、普段は意識することのない、無意識の領域です。
たとえば、考えなくても靴をいつも右足から履くとか、電車に乗るといつも同じ隅の席に座るとかも無意識の行動ですし、たとえば、落としたものをいつも同じ動作で拾うのも無意識に刻み込まれた行動です。
生まれたばかりの赤ちゃんの心は潜在意識のみだと言われています。
赤ちゃんは、泣きたいときに泣き、楽しければ笑うなど本能のままで、自分を理性で抑えることなどありませんよね。
ところが潜在意識のみの赤ちゃんにも、小学生になるころまでに、少しずつ顕在意識が芽生えてきます。
この顕在意識と潜在意識の境目があいまいな幼いころに体験したことは、潜在意識に深く入り込みます。そのため、子どものころに、なんらかの理由で傷ついたリトル・ミーがいると、つらい思いをしたのは過去のことでも、心の傷は潜在意識にしっかりと残ります。
そして幼少期の記憶である心の傷は、考え方のクセや行動のパターンとなって、大人になっても人生に大きな影響を与えるのです。
たとえば、「あれがやりたい」「これがしたい」と自分の欲求を伝えると、両親がいつも、困った顔をしたりため息をついたりしていたとします。
子どもは、そんな些細なしぐさや表情の変化でも、敏感に親の気持ちを感じ取ります。そして、「あ、自分の欲求や気持ちを素直に伝えると、親は困るんだな」と、ショックを受けます。
そうして、傷ついたリトル・ミーが生まれるのです。
この、傷ついたリトル・ミーは、「自然な感情や欲求を表に出すと嫌われる」と考え、大人になっても、人の顔色をうかがい、自分の気持ちにフタをするように仕向けます。
顕在意識と潜在意識の力関係は、およそ1:9ほどだと言われています。
1%:99%という説もあるほど、潜在意識のパワーは強力です。
私たちが生きる現実の世界は、潜在意識で考えていることがこれほど大きく投影されているのです。
リトル・ミーは、潜在意識に眠る過去の記憶ですから、知らず知らずのうちに、強大な力であなたの人生をコントロールします。
ですから人生の9割は、こうした幼少期の記憶で決まると言っても過言ではないのです。
一説によると、人は数万通りのリトル・ミーを抱えていると言われています。
私がこれまで心理カウンセラーとして、6500人以上の方にカウンセリングしてきた経験からも、人は数えきれないほどのリトル・ミーを抱えているという実感があります。でも、だからと言って、すべてのリトル・ミーを癒さなければ、人生が変わらないわけではありません。
私の経験から、ほとんどの場合、最も傷ついたリトル・ミーを癒すだけでも、見違えるほど人生は大きく変わっていきます。
それでもセッションを通して、リトル・ミーの存在に気づき、大人になった自分の立場から、当時の自分の気持ちと母の気持ちを振り返ることで、少しずつリトル・ミーは癒されていきます。
幸子のように、最も傷ついたリトル・ミーを見つけること。そして、深く傷ついたリトル・ミーを癒し、幼少期の記憶を再構築することで、人生は大きく変わっていくのです。