50歳ころを境に、手の痛みやしびれ、こわばりなどを訴える女性が多くなります。「年だから」と放置していると、指の変形につながることもあります。そこで、国内でも珍しい「へバーデン結節外来」を掲げ、日々、手指のトラブルに悩む人の悩みを解決している、富永ペインクリニック 院長の富永喜代先生に、更年期以降の女性に多い「6つの手指の病気」を教えてもらいました。
痛みやこわばり、しびれ・・・症状で分かる! 手指の病気をチェック
「手が痛い」「手指がこわばる」「指が動かしにくい」など、手や指のトラブルはさまざまあります。
更年期以降の女性に多い、手指の病気と対策をまとめました。
●ばね指
手指の使い過ぎで腱や腱鞘がこすれて炎症が起こり、指が動かしにくくなります。
動かしにくい指を動かそうと力を入れると、指がカクンと跳ね上がることからこの名に。
指がカクンと跳ね上がるのはどの指でも起こりますが、特に中指、薬指に多く見られます。
●ヘバーデン結節
指の第1関節(指先から数えて1番目の関節)が変形してしまう病気。
「指先を動かすと痛みやしびれを感じる」「指が動かしにくい」などの症状が現れます。
第1関節が腫れる、曲がる、痛む。「箸が持てない」など、日常的な動作に支障が出ることも。
●手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)
手根管(手指の神経が通っている、手首のトンネル状のパイプ)の腱や滑膜が炎症を起こし、手指にしびれや痛みが現れます。
進行すると、親指の付け根がやせてくる症状も。
親指から薬指の半分(中指側)や手のひらにしびれや痛みが出現。手を振ると痛みはやわらぐ。
●ブシャール結節
ヘバーデン結節が指の第1関節に現れるのに対し、ブシャール結節は、指の第2関節に痛みやこぶ、変形などの症状が現れます。
症状や進行は、ヘバーデン結節とほぼ同じ。
痛みやこぶ、変形などが指の第2関節に起こります。ヘバーデン結節と合併することも多い。
●母指(ぼし)CM関節症
物を握ったり、親指をひねったりするたびに、親指の付け根辺りに痛みを感じます。
10秒神経マッサージとあわせて、サポーターで親指付け根の負担を軽くするのもおすすめ。
親指の付け根に痛みを感じ「フタを開ける」「包丁で硬いものを切る」などがつらくなる人も。
●手首の腱鞘炎
手首の親指側に起こる腱鞘炎で、ドゥケルバン病とも呼びます。
進行すると、親指が開きにくくなったり、親指の付け根の母指CM関節が変形することもあります。
「物をつかむ」「スマホの操作をする」などで、親指を動かすたびに痛みを感じます。
更年期以降の女性に多い「6つの手指の病気」の対策法
更年期以降の女性に多い手指の病気の対策には、「10秒神経マッサージ」がおすすめです。
症状に応じた10秒神経マッサージを行って、不快な症状の軽減に役立てましょう。
4つの「10秒神経マッサージ」
①手首(親指側)
ばね指や腱鞘炎に。朝と夜の2回「親指側の手首」の10秒神経マッサージ
②人さし指の付け根
手根管症候群などに。爪を立てて刺激する「人さし指の付け根」の10秒神経マッサージ
③指の第1関節(両わき)
へバーデン結節にも。「指の第1関節」の10秒神経マッサージ
④手首(小指側)
爪が骨に当たるのを感じて!「小指側の手首」の10秒神経マッサージ
●ばね指
10秒神経マッサージ①+②を重点的に、③、④も合わせて行う。① ② ③ ④
●ヘバーデン結節
10秒神経マッサージ①②③④を行う。乳輪マッサージを加えるのもいい。① ② ③ ④
●手根管症候群
10秒神経マッサージ②を重点的に行う。乳輪マッサージもおすすめ。②
●ブシャール結節
10秒神経マッサージ①②③④を行う。③で刺激するのは指の第2関節に変更。① ② ③ ④
●母指(ぼし)CM関節症
10秒神経マッサージで重点的に行うのは②。合わせて①も刺激するとさらにいい。② ①
●手首の腱鞘炎
10秒神経マッサージ①と②をセットにして重点的に行う。 ① ②
取材・文/笑(寳田真由美) イラスト/堀江篤史