みんなのケア

「感情の老化度」をセルフチェック! 脳と体を衰えさせる「3つの原因」を精神科医・和田先生が解説

健康で長生きするためには「自立した生活」を送り続けることが重要。そのためには、脳と体を若々しく保ち続けることが必要とされています。そこで今回は、こころと体のクリニック 院長の和田秀樹(わだ・ひでき)先生に「脳と体を衰えさせる『感情の老化』の3つの原因」についてお聞きしました。

※この記事は『毎日が発見』2022年8月号に掲載の情報を再構成してお届けします。

考え方と習慣を変えれば脳と体は若々しく保てます

健康で長生きを叶えるには、いつまで自立した生活を送れるかが重要です。

そのために必要なのは、脳と体を若々しく保ち続けること。

「50代からは、何かをやりたいと思う意欲の維持が大切です。そのためにも、意欲低下のメカニズムを減らす必要があります。やる気や感情のコントロールを司る前頭葉の機能が低下するのを遅らせる、幸せホルモンともいわれるセロトニンの減少を抑えるといったことが有効です」と、和田秀樹先生。

「できることを減らさない」のもポイントだと和田先生。

「認知症になっても、軽症のうちは何だってできます。"年だからもう無理はできない"という思い込みが、脳と体を衰えさせます。使って鍛えて衰えさせない、これが鉄則です」

今回は、脳と体の老化予防のために取り組みたいことを、和田先生に教えていただきました。

できることから始めてみましょう。

・初めてのことを楽しめる自分に

・毎日、ハッピーでいられる人に

・いつまでも若く見られる

・もの忘れ・認知症を防ぐ

・うつや寝たきりにならない

参考:『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『70歳からの老けない生き方』(リベラル社)/著:和田秀樹

脳と体を衰えさせる感情の老化その3つの原因は?

原因その【1】前頭葉が縮む

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年をとるにつれ、脳は前の方から縮み、思考や感情、行動や判断などを司る前頭葉から萎縮していきます。

前頭葉の働きが衰えると、「考えることが面倒になる」「感情をうまくコントロールできずに怒りっぽくなる」「意欲が衰える」「集中力が低下する」など、さまざまな変化が現れます。

放置すればどんどん老化が進みますが、前頭葉に刺激を与えることで脳は活性化します。

そのためには、「したいことをする」のが最も効果的です。

●前頭葉の老化をチェック
□ 家族や友人とけんかをすると、怒りがなかなか収まらない
□ 失敗をすると、昔よりもうじうじと引きずる
□ 「この年で始めても遅いわ」とよく思う
□ 最近、何かに感動して涙を流した記憶がない
□ 新刊書や旅行などの広告を見なくなった
□ この1カ月、1冊も本を読んでいない
□ あることが気になったら、しばらく気にし続ける
□ 人にものを尋ねるのはおっくうだと感じることが多い

1つでも思い当たる人は、「前頭葉の老化」が進行中かもしれません。

原因その【2】セロトニンの減少

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脳内の神経伝達物質であるセロトニンは、別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、幸福感や意欲をコントロールして気分を明るくしてくれます。

しかし、年齢を重ねるとセロトニンが不足しやすくなり、ひどくなると、うつを引き起こす
ことも。

「最近、やる気が出ない」と感じるようになったら注意が必要です。

セロトニンを生成するたんぱく質をしっかり摂る、日光を浴びるなどで、セロトニンの減少予防に努めましょう。

●セロトニンの減少をチェック
□ なんだか最近やる気が出ない
□ 昔よりも活動的でなくなった
□ 頭の働きが悪くなったような気がする
□「 もしかしてうつかも」と思うことがある

原因その【3】筋力・体力の低下「感情の老化度」をセルフチェック! 脳と体を衰えさせる「3つの原因」を精神科医・和田先生が解説 2208_P011_02.jpg

健康で長生きするためには、筋肉の維持が大切です。

一人できちんと歩くのはもちろん、食べ物を咀嚼したり、飲み込む際にも喉周辺の筋肉が不可欠。

筋肉を作り出し、筋力を保つためには、食事と運動が重要。

「おなかがすかないからと食事量を減らす」「さっぱりしたものしか食べられないと肉食を
控える」といったことは、筋肉の減少、体力の低下につながり、老化を加速させるリスクになります。

● 筋力・体力の低下をチェック
□横断歩道を渡り切れない
□手すりにつかまらないと階段を上がれない
□ペットボトルのキャップを開けにくくなった

《体力の温存が老化を加速》
年をとると、体力が低下するのは当然です。だからといって「年だから無理」と動かなければ衰える一方。できることを減らさないためにも体を動かしましょう。

取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) イラスト/藤田ヒロコ

<教えてくれた人>

こころと体のクリニック 院長
和田秀樹(わだ・ひでき)先生
東京大学医学部卒業。精神科医。高齢者専門の精神科医として30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わる。近著『80歳の壁』(幻冬舎新書)他、著書多数。

この記事は『毎日が発見』2022年8月号に掲載の情報です。
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