寿命が縮まるサインかも!?「夜3回以上トイレに起きる人は死亡率が2倍」の衝撃結果を泌尿器科医が解説

夜間頻尿は、細胞のサビが進んでいるサイン

細胞のサビとコゲのうち、夜間頻尿により強く関係しているのは、サビのほうです。

酸化ストレスによって細胞がサビると、膀胱でつくられる一酸化窒素が減ります。一酸化窒素が減ると膀胱が硬くなり、夜間頻尿が起こります。

裏を返せば、夜間頻尿の一因は膀胱が硬くなること、膀胱が硬くなる一因は一酸化窒素が減ること、そして一酸化窒素が減る最大の要因は、細胞がサビること――というわけで、夜間頻尿は細胞のサビが進んでいるサイン、もっといえば「細胞のサビによって起こる病気=生活習慣病」になっているサインと見なせるのです。

泌尿器科的に見れば、生活習慣病は、「一酸化窒素減少病」といえるでしょう。

なかでも糖尿病の疑いが強くなるのは、排尿の「回数」だけでなく「量」も増えている場合です。

糖尿病は、血中の糖の濃度が異常に上がってしまう病気です。そして高血糖になると細胞の水分が血管に引っ張られ、大量の水分が尿として排泄されてしまいます。これが夜間に起こると、排尿の回数も量も多くなるのです。

ちなみに、この多尿状態のあとには、脱水と多飲が待ち構えています。

本当はからだに必要な水分が尿として排泄されてしまうため、からだはつねに水分を欲するようになります。そのため、糖尿病では、夜間頻尿、夜間多尿だけでなく、夜中に喉が渇いて目が覚めることもあります。

このように、夜間頻尿の背景には、重大な病気が潜んでいるかもしれないのです。

にもかかわらず、「大変だけど、命にかかわるわけではないし」などと夜間頻尿を軽視し、放置するのは、みずから命を縮めるようなものです。

統計的に、50歳以上では、男女を問わず大半が夜中に1回はトイレに起きます。中年以上では「夜中に1回程度」は通常の範囲といっていいでしょう。それが2回、さらに3回、3回以上、となってきたら、そのときこそ生活習慣病と真剣に向き合うタイミングと考えてください。

 

堀江重郎
泌尿器科医、医学博士。1960年生まれ。日米の医師免許を取得し、米国で腎臓学の研鑽を積む。2003年帝京大学医学部主任教授、2012年より順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学主任教授。順天堂医院泌尿器科長。腎臓病・ロボット手術の世界的リーダーであり、科学的なアプローチによるアンチエイジングに詳しい。日本抗加齢協会理事長、日本メンズヘルス医学会理事長。

※本記事は堀江重郎著の書籍『尿で寿命は決まる 泌尿器の名医が教える 腎臓・膀胱 最高の強化法』(SBクリエイティブ)から一部抜粋・編集しました。
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