『尿で寿命は決まる 泌尿器の名医が教える 腎臓・膀胱 最高の強化法』 (堀江重郎/SBクリエイティブ)第1回【全7回】
頻尿、残尿感、尿失禁など尿にまつわる悩みを抱えていても、年のせいだからと軽視していませんか? じつは「寿命が縮まるサイン」の表れかもしれません。泌尿器科の名医・堀江重郎先生による『尿で寿命は決まる 泌尿器の名医が教える 腎臓・膀胱 最高の強化法』は、尿と病気の因果関係をわかりやすく解説しています。尿トラブルは、対処可能なものが多いのも事実! 今すぐ取り入れられる予防法を実践して、クオリティ・オブ・ライフを上げていきましょう!!
※本記事は堀江重郎著の書籍『尿で寿命は決まる 泌尿器の名医が教える 腎臓・膀胱 最高の強化法』(SBクリエイティブ)から一部抜粋・編集しました。
加齢と「おしっこの悩み」は切っても切れない
年をとると、「溜める」「出し切る」がうまくいかない
加齢現象は、程度や現れ方、現れる時期に差はあるものの、誰にでも必ず起こってくるものです。
それは排尿においても例外ではなく、「快尿」とは正反対の現象が起こってきます。とくに代表格といえる「頻尿」「残尿感」「尿失禁」は、早い人だと男性で40歳、女性で50歳くらいから現れます。
こうした排尿の加齢現象を生む一番の理由は、「膀胱の筋肉の衰え」です。膀胱は厚いゴム風船のような筋肉の袋です。年をとるにつれて、動脈硬化などにより、膀胱に流れる血液(血流)は減っていきます。血液と筋肉には密接な関係があるため、膀胱の血流が減ると膀胱の筋肉のしなやかさが失われ、硬くなってしまいます。
若いころの膀胱がゴム風船なら加齢によって紙風船になってしまうといってもいいでしょう。伸縮性が落ちると膀胱の容量も減ってしまいます。つまり「快尿」の条件その1「尿が膀胱に十分に溜まること」が失われ、しょっちゅうトイレに行きたくなるのです。
ここで問題となるのは、「トイレで一気に出し切った」というスッキリ感が得られるかどうかです。
残尿感がなくスッキリとしたおしっこなら、トイレに行く回数が人より少し多いように思えても、膀胱が老化しているとは見なさなくていいでしょう。
また、膀胱の筋肉が衰えると、排尿したいときに膀胱が十分に収縮しなくなります。
つまり尿を押し出す膀胱の力が弱くなるため、尿が出切るまでに「約21秒以上」かかったり、尿が出切らずに「いつも何となくトイレに行きたい感じ」になったりします。
快尿の条件その2「尿が膀胱からスムーズに出切ること」が失われているわけです。
尿失禁は、お腹にちょっと力を入れただけで漏れてしまう、あるいは急に尿意をもよおしてトイレが間に合わないという現象です。出産後の若い女性に起こることもありますが、多く見られるのは、やはり中高年になってからです。
加齢とともに膀胱を支えている構造に緩みが出たり、膀胱が知覚過敏になったりすることで、尿が漏れやすくなるのです。
また、男性では、加齢による前立腺肥大が、頻尿や残尿感、尿失禁につながっているケースも非常に多く見られます。