日本は教育費が高すぎるのでは? 負担が大きすぎる...!/幸せに生きるための政治

日本は先進国中で、大学院はおろか四年制大学の進学率が低い国になってしまいました。短大とか専門学校を入れると進学率は8割くらいなんですが、四年制大学に限れば5割強です。

ただ国民の半分しか四年制大学へ行っていない現実があるのに、なぜ四年制大学への進学を国が手当てすべきなのかについては、今のところ明確な答えはありませんが、よくも悪くも高等教育出身であることと生涯年収は日本でもかなり明確に相関しています。納税額が増えることが期待できることや、知識生産の裾野拡大でしょうか。最近めっきり聞かなくなりましたが「生涯教育」、今風にいえばリスキリングを対にしてうながすべきです。

もし昔のような、「科学技術立国」とか「教育大国」みたいな国を目指すとすれば、なんらかのテコ入れをすべきでしょう。

四年制大学への進学率が伸びないのは、たぶん常識と異なりますが、四年制大学の量的不足があるのかもしれません。都市部においてはむしろ過剰気味ですが、地方においては選択肢が限られています。

東京・関西・中京・福岡・札幌エリアを除くと、大学の選択肢は、学部まで入れてもかなり少なくなります。静岡とかでも少ないし、東北などは土地の広さに対して大学の数は相当に少ないですよね。

最低時給や世帯の年収で見たときにも、都市と地方の格差は相当開きがあります。よって、地方の人たちが都市部の生活コストの高い地域に子どもを進学させられるかというと難しい。

地方の学生を大学に行かせる率を高める政策は、もっと個別に考えられるべきです。

東工大が独自に行っている奨学生募集制度に、①親が四年制の大学を卒業していない人を対象にした「ファーストジェネレーション枠」と、②高等学校の対象所在地が埼玉、千葉、東京、神奈川を除く地域で、自宅からの通学が困難な人に向けた、つまり地方出身者を対象にしたものがあります。

前者は、家族が大学に行っていないということは四年制大学に対する理解がなかったり、いろいろ不利な条件にあるだろうということで、その人たちを支援すべきだという趣旨です。これは結構いい。後者も、地方の意欲のある優秀な人をサポートする意図です。

2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した東工大栄誉教授・大隅良典氏は「このままいくと10年後、20年後にはノーベル賞受賞者が出なくなると思う」と警鐘を鳴らしています。

防衛費43兆円(2023〜27年度の5年間の総額)から、1兆円くらい教育費に回してくれるとインパクトが相当出るんですけどね。現実にはその気配は乏しく、防衛費と比べて教育予算はお寒い状況です。

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※本記事は西田 亮介 (著), 池上 彰 (責任編集)の書籍『幸せに生きるための政治』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

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