『幸せに生きるための政治』 (西田 亮介 (著), 池上 彰(責任編集)/KADOKAWA)第8回【全9回】
物価も税金も高くなり、日々の暮らしがたいへんになっていく一方で、政治家がらみのさまざまなニュースを耳にする毎日。「このままじゃいけないんだろうけど、でも政治のことはやっぱりよくわからないし...」と過ごしている人も多いのでは? そんな人に向けて社会学者の西田亮介さんが身近な例を挙げてアドバイスし、池上彰さんが責任編集をした書籍『幸せに生きるための政治』(KADOKAWA)から一部抜粋してご紹介します。
※本記事は西田 亮介 (著), 池上 彰(責任編集)の書籍『幸せに生きるための政治』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
経団連が少子化対策で消費税19%を提言?なぜ法人税が下がり消費税ばかりが上がるのか
令和4年度、国の税収は過去最高となる71兆円台を記録しました。税収が70兆円を超えるのははじめてです。でも、その一方で借金も増え続けています。
経団連は2023年9月12日に令和6年度税制改正に関する提言を公表、少子化対策など社会保障の財源として消費税の引き上げが〝有力な選択肢〟だと明言しました。経団連はこれまでも、少子化対策の財源として消費税を含めて議論すべきだと主張してきました。私たち生活者は「消費税を下げてほしい」と思っているのに逆です。
国の税収の3本柱は、「消費税」「所得税」「法人税」です。以前はだいたい、それぞれ20兆:20兆:20兆くらいの比率だったものが、法人税収はどんどん下がり、今では10兆円程度になってしまいました。
前明石市長の泉房穂氏が「X」(旧ツイッター)で苦言を呈していました。「〝経団連さま〟って、すごい団体だ。『自分たち大企業の税金は安くしてくれ』と言いながら、『国民への増税をどうぞ』とけしかける」と。共感します。
考えてみればある意味当然で、大企業社会は自分たちに不利益になることは主張しません。