塩分とのバランスをとる「ある栄養素」
塩分のとり過ぎで血圧の上昇が気になる人にとって、欠かせないもの――それが、カリウムです。
カリウムには、ナトリウムとともに、細胞の浸透圧を調整したり、心臓や筋肉がうまく働くように、神経を伝達する役割を担っており、さらに余分なナトリウムを汗や尿として排出し、血圧を下げる効果などもあります。
いわば、塩分の「お目付け役」のような存在であり、血圧が高めの人にとっては必需品ともいえる成分です。
血圧を下げるためには、塩分を控えるのはもちろんですが、このカリウムを多くとることも大切で、おもに豆類や野菜、果物にたくさん含まれています。
カリウムは腎機能が正常であれば、特にサプリメントなどを使用しないかぎりは過剰摂取になるリスクは低く、摂取の上限量は定められていません(46)。
WHOのガイドラインでも、成人の高血圧や心血管疾患、脳卒中のリスクを減らすために、食べ物からのカリウム摂取量を増やすことを推奨しています(47)。
しかし、腎臓の機能が低下している人や、心不全でカリウムを保持する利尿薬、一部の高血圧のクスリを服用している人は、カリウムをとり過ぎると血液中のカリウム値が異常に高くなり、危険な不整脈が発生することがあるので、まずはかかりつけ医に相談してください。
参考文献:46) 厚生労働省「日本人の食摂取基準(2020 年版)」
47) "WHO. Guideline: Potassium intake for adults and children. Geneva, World Health Organization
(WHO), 2012"