「息切れ」は心臓や肺の病気の初期症状の場合もあるので要注意。循環器内科の小保方先生が解説

大人世代になると、安静時に息切れがしたり、これまで問題なかった運動でもできなくなることがあります。こういったときは病気の疑いがあります。今回は、群馬大学循環器内科病院講師の小保方 優(おぼかた・まさる)先生に、「息切れ」の原因と考えられる病気についてお聞きしました。

主な原因
・心臓の病気
・肺の病気

主な治療法
・薬物療法
・生活習慣の改善
・ 運動など

心臓の病気が原因の場合

「息切れ」は心臓や肺の病気の初期症状の場合もあるので要注意。循環器内科の小保方先生が解説 2307_P074-075_01.jpg

特徴
・むくみが全身に生じることがある
・全身がだるく疲れやすくなる
・横になることで血液が滞り、咳や呼吸困難が起こる

考えられる病気

心不全
心臓の機能が悪化して、むくみや息切れが起こり、じわじわと進行しながら命を縮める病気。

弁膜症
血液の流れをコントロールするための心臓内の弁に異常が生じて、血液の滞りや逆流が起こる病気。

狭心症
心臓の筋肉に血液を行き渡らせる「冠動脈」が狭くなり、一時的に心臓の筋肉が酸素不足に陥って胸の痛みや圧迫感を引き起こす病気。

肺高血圧症
肺の中を流れる血管の圧が高まり、その結果、心臓に負荷がかかるようになる病気。進行すると動いたときに息切れを起こすようになる。


「息切れ」とは、呼吸をするのに努力を必要としたり、呼吸に不快感を自覚したりする状態を指します。

体が必要とする酸素を心臓や肺が供給できなくなると息切れが起こります。

「呼吸が早い」「胸がドキドキする」「息が詰まる感じ」など、人によって感じ方や表現が異なりますが、医学的には、これらをまとめて「呼吸困難」と呼んでいます。

「安静にしていても息切れがある」「これまで問題なくできていた運動ができなくなる」「同年代と歩いていてついていけない」などの場合には、何らかの病気の疑いがあります。

特に注意が必要なのは、心不全や狭心症など「心臓の病気」、気管支喘息(ぜんそく)や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など「肺の病気」によるものです。

「年だから」「運動不足だから」と放置していると、死に至る場合もあるので、一度医療機関で診断してもらうことが肝要です。

他にも甲状腺機能亢進症(こうしんしょう)(※)や腎・肝機能障害などの代謝の病気、貧血、精神的な病気など、さまざまな原因があります。

※ 甲状腺のホルモン分泌機能が過剰になることが原因で引き起こされる病気。代表的なものに免疫の異常によって発症するバセドウ病がある。

 

<教えてくれた人>

群馬大学循環器内科病院講師
小保方 優(おぼかた・まさる)先生

2007年群馬大学医学部卒業。医学博士。19年より現職。22年3月に設置された「息切れ外来」にて「運動負荷心エコー図検査」を使って心疾患の早期発見につなげている。

この記事は『毎日が発見』2023年7月号に掲載の情報です。
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