6人に1人とも言われる「男性更年期障害」。甘く見てはいけない「男の生理」の有無

男と女の更年期、これだけ違う

なんといっても生殖可能な年代が終わる「閉経」という、わかりやすく劇的な変化が女性にはあります。それによって、ほてり、発汗、イライラが出てくることも世の中に知られています。

しかし、男性更年期にはそれがありません。「なんとなく最近、疲れているかな」「やる気がでない」と言って放置しているうちに、心と身体が徐々に蝕まれていくのです。いきなり熱湯につかればぱっと飛び出しますが、ぬるま湯につかってじわじわと温められていると、うっかりのぼせてしまうのと似ているかもしれません。

男性も発汗、冷えなど、女性と同じような更年期症状はありますが、女性のように急には自覚できません。男性更年期は周りからも気が付かれにくく、本人も自覚しにくい。また体の変化が弱い分、精神面が弱ってくると、どうしてもうつ病と間違われてしまうのです

ほとんどの男性は自分ではストレスをあまり意識せずに暮らしており、症状が現れるまで問題意識を感じることがありません。そのため、突然の更年期障害に戸惑うことがひんぱんに起きるのです。

普通なら加齢に伴って非常にゆっくり低下していくテストステロンが、種々の強いストレスで急減すると、うつ症状が強く表れます。これはテストステロン低下によって、セロトニンやドーパミンといった神経内分泌物質も著しく減少するからです。高かった状態からの急降下は、強いうつ症状や自律神経失調症状につながります。男性の傾向はこちらです。

・急に冷えを感じるようになったことが、更年期障害によるホットフラッシュだと理解できない
・メールを返すのが面倒になるなど、他人とのコミュニケーションが億劫になる
・異性への好奇心がなくなる
・以前のテストステロン値が高く、超元気な人だった人ほど、更年期の変化が激しい
・若い時からテストステロン値が、低い人はあまりダメージを受けない

 

関口由紀

『女性医療クリニックLUNAグループ』理事長。医学博士、経営学修士(MBA)、日本メンズヘルス医学会テストステロン治療認定医、日本泌尿器科学会専門医、日本排尿機能学会専門医、日本性機能学会専門医、日本東洋医学会専門医、横浜市立大学医学部客員教授、女性総合ヘルスケアサイト・フェムゾーンラボ社長、日本フェムテック協会代表理事。メディア出演多数。『「トイレが近い」人のお助けBOOK』(主婦の友社)、『女性のからだの不調の治し方』(徳間書店)、『セックスにさよならは言わないで:悩みをなくす膣ケアの手引き』(径書房)など著書多数。

※本記事は関口由紀著の書籍『性ホルモンで乗り越える男と女の更年期 知っておきたい驚異のテストステロンパワー』(産業編集センター)から一部抜粋・編集しました。
PAGE TOP