「快便でも痔になる」「痔は遺伝しない」痔の正しい知識で"痔主"になるのを回避しよう

【本作を第1話から読む】便秘が起きる場所は「おなか」と「出口」! 知らないと対処法を間違えてしまう「便秘の原因」

『便秘の8割はおしりで事件が起きている!』 (佐々木みのり/日東書院本社)第5回【全6回】

慢性的に悩まされている人も多い「便秘」。しかし、便秘にまつわる情報には誤解が多かった? 便秘は「おなか(腸)」の問題と思われがちですが、ほとんどの原因が「出口(直腸・肛門)」で起きていた...。『便秘の8割はおしりで事件が起きている!』は、大阪肛門科診療所副院長の佐々木みのりさんが、便秘の原因と対策をわかりやすい図解とともにやさしく解説してくれます。正しい知識を得て、スッキリ健康な生活をしましょう!

※本記事は佐々木みのり著の書籍『便秘の8割はおしりで事件が起きている!』(日東書院本社)から一部抜粋・編集しました。


快便でも痔になりますよ!

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日本人の3人に1人が"痔主"経験者!?

肛門の疾患の中でももっとも多い「痔」は、人に相談しづらいためか、多くの人が勘違いや間違った思い込みで症状を悪化させています。痔とは、「肛門やその周辺に起きる良性疾患の総称」で、肛門に生じるトラブルのうち、がん以外のすべてのものを指します。

肛門にかゆみがある「肛門そう痒(よう)症」や、温水洗浄便座での洗いすぎによる「温水便座症候群」なども広い意味で「痔」に含まれ、日本人の3人に1人が"痔主"経験者といわれるほど身近なものです。そして、さまざまな症状がある中で、"痔主"の多くに共通しているのが、出口の便秘です。

排便習慣を正さずして痔の改善は見込めない

「痔は、便秘の結果なるもの」と思っている人が多いようですが、1週間排便がなくても「おなかの便秘」の人は痔になりません。反対に、診察に訪れる"痔主"の9割以上が毎日排便があり、そういう人も診察すれば必ずといっていいほど出残り便が確認できます。よく、「うちは親も痔で家系だから」「座り仕事だから仕方がない」と言う人がいます。しかし、痔になりやすい体質や仕事があるわけではなく、痔は「排便の結果」です。間違った排便を正さずに投薬や手術をしても、症状をくり返すだけ。痔の改善には原因となった排便を正すことが必要です。

間違いだらけの痔の情報

間違った情報や誤解で対処していると、痔が長引き、くり返すばかり。正しい知識で正しい対応を。

×痔は遺伝する
「母も痔なので家系なんです」「家族の中で私だけ痔なんです」というように、痔を遺伝だと思っている人がいるが、痔は遺伝しない。

×妊娠・出産で痔になる
妊娠中は子宮が内臓や血管を圧迫して、むくみやすく便秘がちに。それで痔が悪化することはあっても、妊娠・出産のせいで痔にはならない。

×市販薬で痔は治る
家族にも内緒で数万円もする薬を使い続けても痔は治らないばかりか、反対に悪化してしまう場合も。痔だと思ったらまずは受診を。

×座り仕事をすると痔になる
長時間座り続けると、おしりがうっ血して腫れやすくなるが、座っている時間が長いために痔になることはない。

×快便の人は痔にならない
痔もちの9割は毎日排便がある。「毎日お通じがあれば痔にはならない」というのは大きな間違い。

×痔は手術で完治する
原因である排便異常を改善しなければ、手術をして一時的には治っても、痔は再発する。根本的な問題解決が必要。

 

佐々木みのり
1912年創立、110年以上の歴史を持つ大阪肛門科診療所の副院長。肛門科女医の草分け的存在。1994年大阪医科大学を卒業後、大阪大学皮膚科学教室に入局。その後、4年間、大阪大学附属病院、大手前病院、東京女子医大病院などで皮膚科医として勤務した後、1998年に肛門科医に転身。同年7月には日本初となる「女医による肛門科女性外来」を開設。「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。また、元皮膚科医という経歴を持つ異色の肛門科医として、同業の医師を対象に多数の講演を行っている。『痛み かゆみ 便秘に悩んだら オシリを洗うのはやめなさい』(2020年あさ出版)は3万部超えのベストセラーに。「2時ドキッ!」「おはよう朝日です」「痛快!明石家電視台」「世界一受けたい授業」などのテレビほか、多数のメディア出演あり。

※本記事は佐々木みのり著の書籍『便秘の8割はおしりで事件が起きている!』(日東書院本社)から一部抜粋・編集しました。

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