「快便でも痔になる」「痔は遺伝しない」痔の正しい知識で"痔主"になるのを回避しよう

痔の人の驚くべき勘違い

おしりの洗いすぎや消毒がトラブルの原因に

多くの人が、痔はおしりの汚れが原因だと思っています。そのせいか、トイレやお風呂ではおしりをしっかり洗い、中には排便後、毎回肛門を消毒液で消毒したりする人までいるほどです。実際、医師たちも少し前までは「おしりはキレイに洗って清潔に」と指導していました。

ところが温水洗浄便座が普及すると、おしりの洗いすぎによる弊害が問題となってきたのです。過剰なケアによるさまざまなトラブルは「温水洗浄便座症候群」と名づけられ、医療の現場でも「おしりは洗いすぎないように」という指導方針に変わってきました。

肛門の皮膚はデリケート

肛門まわりの皮膚は、目のまわりの皮膚と同じくらい薄く、とてもデリケート。シャワーの水圧や石けんなどの強い刺激を受けると、簡単にダメージを受けてしまいます。過剰な洗浄が皮膚に炎症を起こし、かゆみやただれの原因となるだけでなく、洗いすぎることで皮膚の表面を覆ってバリア機能を担う「皮脂膜」がはがされ、皮膚の免疫力が低下してしまうのです。

そのため、おしりを洗いすぎて皮膚が炎症を起こしている人には温水洗浄便座の使用をやめるよう指導しています。トラブルがない場合も洗浄は1日1回、短時間で、できれば使わないのが理想です。

こんな人が痔になりやすい

痔の誘因となりがちな生活習慣、あなたはいくつあてはまりますか?

温水洗浄便座を愛用している
排便後、何度も紙に便がつくのはスッキリ排便できていないから。おしりの汚れが気になって温水洗浄便座で洗っているうちに習慣化して「温水洗浄便座症候群」に。

トイレの時間が5分以上
トイレでの読書やスマホなど「ながらトイレ」の習慣は、肛門に負担がかかり、うっ血の原因に。トイレタイムは5分以内に徹して。

トイレをよく我慢する
痔の原因となる出口の便秘は、便意を我慢することから始まる。便意が起きたらできるだけ我慢をせず、すぐにトイレに行く習慣をつけて。

夜遅く寝て朝はギリギリまで起きない
大腸がもっとも活発にはたらく朝5~7時は排便のゴールデンタイム。健康な排便のためにも、早寝早起きを心がけよう。

パン、パスタ、甘いものが好き
小麦粉に含まれるグルテンや乳製品に含まれるカゼインは、腸の粘膜に穴を開けて腸を荒らしてしまう可能性が。体質に合わないときは控えよう。

同じ姿勢を長時間続けている
立ちっぱなし、座りっぱなしは、カラダのむくみやうっ血の原因になる。1時間に1回はカラダを動かすようにしよう。

家族の前でおならができない
たとえ家族でも人前でおならなんて......、とおならを我慢している人は、便意も我慢している人が多い。おならや便意は我慢しないことが基本。

週2回以上お酒を飲んでいる
お酒を飲むと軟便、下痢便、頻便になりやすく、痔ろうになるリスクが高まる。また、いぼ痔は出血しやすくなる。飲みすぎに注意。

 

佐々木みのり
1912年創立、110年以上の歴史を持つ大阪肛門科診療所の副院長。肛門科女医の草分け的存在。1994年大阪医科大学を卒業後、大阪大学皮膚科学教室に入局。その後、4年間、大阪大学附属病院、大手前病院、東京女子医大病院などで皮膚科医として勤務した後、1998年に肛門科医に転身。同年7月には日本初となる「女医による肛門科女性外来」を開設。「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。また、元皮膚科医という経歴を持つ異色の肛門科医として、同業の医師を対象に多数の講演を行っている。『痛み かゆみ 便秘に悩んだら オシリを洗うのはやめなさい』(2020年あさ出版)は3万部超えのベストセラーに。「2時ドキッ!」「おはよう朝日です」「痛快!明石家電視台」「世界一受けたい授業」などのテレビほか、多数のメディア出演あり。

※本記事は佐々木みのり著の書籍『便秘の8割はおしりで事件が起きている!』(日東書院本社)から一部抜粋・編集しました。

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