『便秘の8割はおしりで事件が起きている!』 (佐々木みのり/日東書院本社)第1回【全6回】
慢性的に悩まされている人も多い「便秘」。しかし、便秘にまつわる情報には誤解が多かった? 便秘は「おなか(腸)」の問題と思われがちですが、その多くが「出口(直腸・肛門)」で起きていた...。『便秘の8割はおしりで事件が起きている!』は、大阪肛門科診療所副院長の佐々木みのりさんが、便秘の原因と対策をわかりやすい図解とともにやさしく解説してくれます。正しい知識を得て、スッキリ健康な生活を送りましょう!
※本記事は佐々木みのり著の書籍『便秘の8割はおしりで事件が起きている!』(日東書院本社)から一部抜粋・編集しました。
「おなか」と「出口」は別!
便秘はどこで起きているのか
便秘には、大きく分けて「おなか(大腸)の便秘」とおしりで起きている「出口(直腸・肛門)の便秘」があります。「おなか」は便をつくって運ぶところ、「出口」はおしり、つまり運ばれてきた便を出すところです。なぜ、分けて考えるのかというと、同じ1本の消化管でもそれぞれの役割がまったく違い、便秘の原因も対処法も異なるためです。
便秘をきちんと治すには、まずは自分の便秘がどちらで起こっているのかを見きわめることが大切です。本記事最後の「出口の便秘チェックシート」をチェックし、「出口の便秘」の可能性を考えましょう。
「便秘=腸の問題」という思い込みは危険
現在便秘は、「腸の問題」という認識が普及しており、皆さん便秘になると腸によいといわれる食事や運動をして「腸活」をしたり、下剤を使ったりして対処しているのではないでしょうか。
しかし、「出口」に問題が起きている場合、一生懸命腸活をしても、効果は期待できません。そして効果がないからと、下剤を乱用することで腸内環境が乱れたり、出口の便秘が進行して便意がますますなくなり、痔などの病気を引き起こしたりしてしまいます。「便秘=腸の問題」という思い込みが、現代人の「おなか」と「おしり」をむしばんでいるのです。
おなかの便秘
便をつくる場所「おなか(大腸)」で起こる便秘。
けいれん性便秘
・けいれんして収縮し、狭くなった腸管を通ってくるため、便が小さなコロコロ便となる。
・ぜん動運動が不安定なため、便がゆっくり移動すると便秘に、素早く移動すると下痢となる。
・胃に食べものが入るとぜん動運動が起こるが、腸がけいれんし下腹部に痛みを生じる。
弛緩性便秘
・便が腸内をゆっくりと移動しながら水分が吸収されていくので、大きめのコロコロ便となる。
・腸内に便やガスがたまり、おなかが張ったり下腹部痛を感じたりする。
・便秘が続いて腸内の悪玉菌が増加すると、便が腐敗してガスが発生し、おならが臭くなる。
出口の便秘
便を排泄する通路「出口(直腸・肛門)」で起こる便秘。
直腸性便秘
・便が残っていることで直腸や肛門の排便反射が弱くなり、排泄力が低下している。
・便意を我慢することがクセになっていて、一度タイミングを逃すと便意が起こりにくい。
・出残った便の水分が吸収され、硬くなっている。
・出残った便があるため、1日に何度も便が出る。
・腸内でたまったガスが、出口にある便のニオイを引き連れてくるのでおならが臭くなる。