おなかがゆるい、下痢をくり返す。実はこれも「便秘」!? 汗や口のニオイにも関係する「出口の便秘」

おならが臭いのは出口の便のせい

おならが臭うのは腸内の悪玉菌が原因

腸には通常約200mL、コップ1杯ほどのガスが存在します。そのうちの約7割は食事や会話の際に口から飲み込んだ空気で、ニオイはありません。おならのニオイは、おもに腸内細菌によって食物が分解される際に発生するガスが原因です。善玉菌が食物繊維をエサとして発酵させたガスは、二酸化炭素が中心でほとんど無臭ですが、腸内環境の悪化によって増殖する悪玉菌のひとつ、ウェルシュ菌などがたんぱく質を分解すると、アンモニアなどのニオイ成分を発生させます。これらは少量でも強いニオイを発するため、おならが臭くなる原因となります。

おならだけでなく汗や口のニオイにも注意!

1日に出るおならの回数は、食事によって変わりますが、平均して5~6回ほど。それ以上かつ、「ニオイおなら」が出る場合は、腸内細菌のバランスがくずれているサインかもしれません。とくに、出口の便秘の場合は、出口にたまっている便のニオイを引き連れて出てくるため「ニオイおなら」となります。

さらに、ニオイのついたガスが直腸壁から吸収されて血中に入るので、汗や呼気となって排出されると汗や息も臭くなります。おならだけでなく、汗や口臭など、ニオイで悩んでいる人は出口の便秘を疑ってみてください。

おならがもれるのも、出残り便があるから

普通、おなかの中のガスと吸収・排出されるガスはほぼ同量。このバランスがくずれて腸内のガスが増えると、おなかが張ったりゴロゴロ鳴ったりする「腹部膨満感」につながる。

おなかがゆるい、下痢をくり返す。実はこれも「便秘」!? 汗や口のニオイにも関係する「出口の便秘」 おならがもれるのも、出残り便があるから

おなかのガスの成分は、99%が窒素、酸素、二酸化炭素、水素、メタンで構成され、ニオイはほとんどない。おならが臭いのは、1%のニオイ成分と、出口で出残り便のニオイを引き連れて出てくるから。

 

佐々木みのり
1912年創立、110年以上の歴史を持つ大阪肛門科診療所の副院長。肛門科女医の草分け的存在。1994年大阪医科大学を卒業後、大阪大学皮膚科学教室に入局。その後、4年間、大阪大学附属病院、大手前病院、東京女子医大病院などで皮膚科医として勤務した後、1998年に肛門科医に転身。同年7月には日本初となる「女医による肛門科女性外来」を開設。「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。また、元皮膚科医という経歴を持つ異色の肛門科医として、同業の医師を対象に多数の講演を行っている。『痛み かゆみ 便秘に悩んだら オシリを洗うのはやめなさい』(2020年あさ出版)は3万部超えのベストセラーに。「2時ドキッ!」「おはよう朝日です」「痛快!明石家電視台」「世界一受けたい授業」などのテレビほか、多数のメディア出演あり。

※本記事は佐々木みのり著の書籍『便秘の8割はおしりで事件が起きている!』(日東書院本社)から一部抜粋・編集しました。

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