出したのにお腹が張るのは、おしりの「出口」で事件が発生!? 「出口の便秘」とは【チェックシート付】

本来あるべき排便とは

食べものがたどる消化から排泄の旅

まずは、本来あるべき排便をおさらいしておきましょう。

私たちが口からとりいれた食べものは、筋肉の収縮と弛緩による「ぜん動運動」によって胃に運ばれて消化されます。その後、小腸(空腸・回腸)で栄養が吸収され、大腸(結腸)でもミネラルや水分が吸収されて、ゆっくりと便が形成されます。

通常、便は横行結腸と下行結腸にとどまり、大腸の末端にある直腸と肛門には便はありません。そこへ、食事などをきっかけに腸が刺激を受けると、「胃結腸反射」による大ぜん動運動が起き、便が直腸に移動します。

直腸と肛門は便が通る通路

多くの場合、大ぜん動運動は1日1回、朝食後にもっとも強くあらわれます。これにより直腸に便が下りてきたことを大脳が確認すると、便意が起こります。そして、トイレで排便の用意が調(ととの)い、いきむことで腹圧が高まり、同時に排便や排尿をコントロールしている肛門括約筋がゆるんで便を押し出します。排便の際の腹圧で、一時的に肛門に負担がかかりますが、便が下りてくるたびに完全に排便できれば、肛門は元に戻り再び空っぽになります。直腸と肛門はあくまでも通路なのです。

多少の個人差はありますが、これが排便の正しいあり方です。

正常な排便のサイクル

大腸で水分を吸収され、形となった便は一時的に直腸にためられ、排便の用意が調うと肛門から排出される。

(1)ぜん動運動で移動しながら徐々に形となった便は、ふだんは横行結腸、下行結腸にあり、直腸も肛門も空っぽ。

出したのにお腹が張るのは、おしりの「出口」で事件が発生!? 「出口の便秘」とは【チェックシート付】 benpi_021_01.jpg

(2)便が肛門の手前の直腸に下りてくると、その情報が大脳に伝わって便意が起こる。

出したのにお腹が張るのは、おしりの「出口」で事件が発生!? 「出口の便秘」とは【チェックシート付】 benpi_021_02.jpg

(3)腹筋が収縮し、腹圧により便を押し出し、骨盤底筋群の中にある肛門括約筋がゆるんで便が排出される。

出したのにお腹が張るのは、おしりの「出口」で事件が発生!? 「出口の便秘」とは【チェックシート付】 benpi_021_03r.jpg

(4)直腸にたまった便はすべて排出され、直腸と肛門は空っぽになるのが理想の排便。

出したのにお腹が張るのは、おしりの「出口」で事件が発生!? 「出口の便秘」とは【チェックシート付】 benpi_021_04r.jpg

 

佐々木みのり
1912年創立、110年以上の歴史を持つ大阪肛門科診療所の副院長。肛門科女医の草分け的存在。1994年大阪医科大学を卒業後、大阪大学皮膚科学教室に入局。その後、4年間、大阪大学附属病院、大手前病院、東京女子医大病院などで皮膚科医として勤務した後、1998年に肛門科医に転身。同年7月には日本初となる「女医による肛門科女性外来」を開設。「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。また、元皮膚科医という経歴を持つ異色の肛門科医として、同業の医師を対象に多数の講演を行っている。『痛み かゆみ 便秘に悩んだら オシリを洗うのはやめなさい』(2020年あさ出版)は3万部超えのベストセラーに。「2時ドキッ!」「おはよう朝日です」「痛快!明石家電視台」「世界一受けたい授業」などのテレビほか、多数のメディア出演あり。

※本記事は佐々木みのり著の書籍『便秘の8割はおしりで事件が起きている!』(日東書院本社)から一部抜粋・編集しました。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP