腰痛にマッサージは正解? 不正解? 正しく知っておきたい、マッサージの「本当の効果」

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『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』 (おると/KADOKAWA)第5回【全11回】

マッサージの効果から湿布の貼り方、薬の飲み方まで、私たちの日常には多くの医学知識が必要とされています。しかし、それらを正しく実践できている人は意外と少ないかもしれません。X(旧Twitter)で医療情報を発信し、フォロワー数12万(2024年2月時点)を有する話題の整形外科専門医・おると先生による『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』は、勘違いしがちな日常の中の医学知識を、丁寧に解説してくれます。自分の習慣は問題がないのか、一度チェックしてみましょう。

※本記事はおると著の書籍『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。


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腰痛にマッサージは効果があるのか?

<Check>
・腰痛は最も多い症状
・マッサージは慢性腰痛や亜急性腰痛に対して、一時的な疼痛改善効果あり
・マッサージで機能改善効果は期待できない

みなさんは腰痛を感じたことがありますか? 人口千人当たりに対する病気やケガで自覚症状のある人の割合を有訴者率といいますが、厚生労働省が毎年公開していて「国民生活基礎調査」の結果を見てみると、この有訴者率が一番高かった自覚症状は、男女とも腰痛という結果でした。非常にポピュラーな症状であるため、筆者の外来にも多くの患者が受診してきますし、ネットやソーシャルメディア上にも、腰痛解消のための情報が正誤はさておき、大量に流れています。外来でよく聞かれる質問の中のうちの一つに、「マッサージは効果あるか?」「マッサージに行ってもよいか?」というものがあります。

実際、筆者も好きでたまに行くのですが、果たして腰痛に対して、マッサージは効果があるのでしょうか?

本題に入る前に、まず腰痛を症状が出ている期間から三つに分類しておきます。発症からの期間が4週間未満の場合を急性腰痛、4週間以上3カ月未満の場合を亜急性腰痛、3カ月以上続く場合を慢性腰痛とします。

まず、手っ取り早くコクランライブラリーで、腰痛とマッサージついて見てみましょう。

コクランは英国に本部を置く国際的なネットワークで、医療領域で重要な研究のシステマティックレビューを作成しています。

こちらのレビューでは、「マッサージが腰痛に対して効果的な治療であるという確証はほとんどないとされ、急性、亜急性および慢性の腰痛は短期間の疼痛(とうつう)改善を示すのみで、亜急性および慢性の腰痛患者でも短期の機能改善が見られるに過ぎない」ということになっています。

これまでのデータを総合的に分析した研究によると、マッサージは慢性腰痛の症状をある程度楽にすることには役に立つものの、しびれや麻痺、歩行障害といった機能面での障害の改善効果は期待できないと報告されています。

最後に、マッサージは亜急性および慢性の腰痛症状に対して一時的な軽減効果があるとして、運動指導やリハビリなどと組み合わせれば、症状の軽減に役立てることができるとされています。

 

おると
整形外科専門医。診療にあたりながら、自身の転職経験をもとにしたブログ「フリドク」やX(旧Twitter)を2018年より開始。正しい医療をわかりやすく発信するスタイルや世間のネットニュースについての専門医目線での解説、ニセ医療解説などが大きな反響を呼び、現在12万人を超えるフォロワーを有する(2024年2月時点)

※本記事はおると著の書籍『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
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