『雑草はすごいっ!』 (稲垣栄洋、小島よしお/PHP研究所)第1回【全3回】
「一発屋芸人」と聞くと、その名が挙がるかもしれないピン芸人・小島よしおさん。2007年に「そんなの関係ねぇ!」で一世を風靡したあと、芸能の世界から消えることなくテレビに出続け、活躍の場を広げています。そんな彼を「雑草芸人」と呼ぶのは、植物学者として雑草の研究をしている稲垣栄洋先生。『雑草はすごいっ!』は、「いつも何気なく、そこにある」雑草と小島よしおさんのお互いの生き様がつづられています。小島さんの人生エピソードからわかる「雑草魂」をご覧ください!
※本記事は稲垣栄洋、小島よしお著の書籍『雑草はすごいっ!』(PHP研究所)から一部抜粋・編集しました。
状況に身を任せつつ、チャンスをつかむ
目立ちたがり屋の子どもだった
小島よしおさん――お笑い芸人って、どちらかというと「学級委員長を斜めから見ているタイプ」が多いと思うんです。でも、僕は「学級委員長をやっちゃうタイプ」。お笑い芸人としては珍しいタイプかもしれません。むしろ、お笑い芸人には向いてないかもしれない(笑)。
もちろん、僕自身はお笑い芸人になりたかったですよ。いや、正直に言うと、最初は芸能人になりたかったんです。昔から目立ちたがり屋の子どもだったので、テレビに出たいという思いが人一倍強くありました。
お笑いを目指すようになったのは、入学した早稲田大学でお笑いサークルに入ったのがきっかけです。
お笑いサークルとの出会いは偶然でした。別のサークルの新入生歓迎会で、僕が「お笑いが好きなんです」と話したら、ある先輩を紹介されたんです。その先輩はお笑いサークルにも所属していて、「今度サークルのライブがあるから観に来ないか?」と誘ってくれました。観に行ったらすごくおもしろくて、お笑いサークルに入ったのです。
この先輩こそ、2013年の『キングオブコント』で優勝した「かもめんたる」のコンビで活躍する岩崎う大さんです。
僕は誘われたら断らずについて行くことが多くて、そこからチャンスが舞い込んでくることがあります。う大さんとお笑いサークルとの出会いは、偶然が呼び込んだ最初の幸運でした。もし、う大さんに出会っていなければ、僕は今のようにお笑い芸人として活動していなかったかもしれません。
......と、ここまでは美談ですが(笑)。
じつは、僕をお笑いライブに誘ったとき、う大さんは心の中で「来てほしくない」と思っていたそうです。お笑いサークルにも「入らなきゃいいいなぁ」と思っていたのだとか。「こいつ、学級委員長やっちゃうタイプだな」と見抜いてたのでしょうか。
そんな僕でもお笑い芸人になり、「テレビに出たい」という夢を叶えることができました。卓越した才能や素質に恵まれているわけでもない僕が、どうやってお笑い芸人になり、流行り廃りの激しい芸能界で今日まで生き残ることができているのか。少しだけその理由をお話ししたいと思います。