どこで、誰と、いつまで、どのように暮らす? 「平屋」「総二階」「3階建」それぞれの魅力と選び方

【本作を第1回から読む】「中古」より「新築」がお得!? 初期費用だけでは計れない、住宅購入時の「トータルコスト」の重要性

『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』 (平松明展/KADOKAWA)第4回【全6回】

住宅購入は、一生で一度の大きな買い物といっても過言ではありません。「後悔したくない」とは思っても、漠然としたまま足踏みしている方も多いはず。大工経験があり、建築士の資格をもつ建築会社社長・平松明展氏による『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』には、「安心安全に暮らせて老後に不安のない住まい」を手に入れるためのポイントが紹介されています。住まいに関する知識を得て、理想を現実にしませんか?

※本記事は平松明展著の書籍『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。


平屋と総二階、3階建の住まい比較

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ここ十数年で平屋の建築数が増え続けています。なぜ平屋が注目されるようになったのか? ここでは平屋、総二階、また3階建のメリットとデメリットを徹底比較し、住み方に合うものを探っていきます。

耐震性なら平屋、コストなら総二階

延床面積が30坪の家を建てる場合、平屋と総二階のどちらの初期費用が高いでしょうか?答えは平屋。総二階なら15坪の敷地で1、2階を合わせて30坪になります。平屋は建物を大きくしなければならず、面積を小さくするにしても屋根を大きくする必要があるので高くなります。ただこの屋根の広さは、太陽光パネルをたくさん設置できるというメリットもあります。

平屋のほうにコスト減できる要素もありますが、トータルで考えると初期費用では総二階のほうが安価です。

それでも平屋が人気なのは、メリットがたくさんあるからです。また、大震災のあとに家が倒壊して建て替える際、平屋が増えたとも聞きます。

そうです、平屋は耐震性の高いところが大きなメリット。総二階の耐震性が低いというわけではありませんが、同じ構造の住宅で比較した際に平屋のほうが耐震性に優れているということ。先に述べた太陽光発電にしても耐震性、耐久性が高いことが設置の前提になります。

ちなみにですが、3階建の住宅は建築法規で確認申請の際に構造計算が義務づけられています。平屋と総二階には多くの場合、構造計算書の添付は必要ありません(特例あり)。よって3階建が耐震性に劣るとはいえません。

また初期費用は、3階建は重量が重くなるため、先の耐震性もしかり、構造面においてなにかと費用がかかります。総二階より高くなるのが一般的。地盤が悪ければ地盤改良の費用もかかります。

費用面について補足があります。平屋の場合は熱が逃げやすい特性があります。総二階は、平屋に比べて外皮面積が小さくなり熱が逃げにくくなります。光熱費の観点からも総二階のほうがコスパがよいのです。

窓の取りつけでは、総二階のほうが日射を考慮した設計にできますから冬は日を取り入れやすく有利です。ただし、平屋でも東西に長い建物なら十分に日を取り込めるので、一概に優劣はつけられません【表2】。

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平松明展
平松建築株式会社代表取締役。建築歴23年。19歳から大工として10年間で100軒以上の住宅を解体、修繕し、住宅の性能の特徴を理解する。2009年創業。会社経営を行いながらもドイツを訪れて省エネ住宅を学ぶほか、地震後の現地取材を行い、気候風土に合った家づくりの研究を行う。YouTube チャンネル「職人社長の家づくり工務店」(登録者数は9万人以上)も配信中。

※本記事は平松明展著の書籍『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

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