なぜ「揚げ麺」? なぜ「3分」? カップ麺の5つの不思議/すごい技術

pixta_42074632_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?

身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

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●カップ麺

日本最大の発明の一つといわれる、インスタントラーメンとカップ麺。これらが、世界の食文化さえ変えることとなった。

1958年(昭和33)、東京タワーが完成したその年にインスタントラーメンは誕生した。それから10年余り、今度はカップ麺が誕生する。おいしく手軽にその場で食べられるため、世界中で爆発的に普及していった。

カップ麺には、いくつもの不思議が詰まっている。例えば、なぜ麺が揚(あ)げられているのかというと、実はそこに、最大の発明がある。麺を揚げることで水分が飛び、保存ができるようになるのだ。また、麺のアルファ化が促進され、「お湯をかけて3分で食べられる」ようにもなる。アルファ化とは、人間が消化できるようにデンプンを転化することをいう。

ところで、なぜ「3分」なのだろう。1分で食べられる麺も作れるが、当然伸びるのも早くなる。食べている間に麺が伸びてしまうのだ。しかし、長く待たされてはイライラする。

その頃合いが「3分」なのである。3分には人間工学的な経験則が凝縮(ぎょうしゅく)しているのだ。

では、麺はなぜ縮れているのだろうか。それは、麺をそのまま揚げると麺同士がくっつき、揚げ上がりにムラができるからだ。麺を縮れさせれば、隙間(すきま)ができて均等に揚げられる。

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ここで、カップ麺の容器を縦に切断してみよう。麺の下に隙間があることがわかるはずだ。また、上側の麺が密で、下側がそうでないことも見て取れる。なぜだろうか。何の工夫もせずに麺を容器に入れて3分間放置すると、中心部までお湯の熱が伝わらない。そこで、下に隙間を作って熱湯が対流しやすくしているのだ。こうして、熱い湯がまんべんなく行き渡ることになる。

カップ麺は具にも工夫がある。1950年代に軍の携行食として開発された「フリーズドライ」という技術を利用している。熱処理をしないですむため、食材の風味が生かされるのだ。

このように、カップ麺にはさまざまな技術が凝縮されている。そして現代、揚げない「ノンフライ麺」や、縮みのない「ストレート麺」の登場など、さらなる進化を続けている。

 

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涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。


涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


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『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

身近なモノに秘められた“感動もの”の技術、一挙解説! 身近な文具から、便利すぎるハイテク機器まで…あれもこれも、すべて「科学技術」の結晶なのです。日ごろよく使う「モノ」の“すごい技術”を図解でわかりやすく解説します。

この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

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