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お酒を飲んだあとのシメにラーメンが食べたくなる理由
お酒を飲んだ帰り道、無性にラーメンが食べたくなることがある。つまみや料理もしっかり食べたし空腹なはずはないのに、困ったものだ。あれはいったい、どうしてなのだろう。
人が空腹を感じるのには、血糖値が関与している。通常、食事をすると小腸から吸収された糖質が肝臓で分解されてグルコース(ブドウ糖)になり、血糖値が上がる。すると、脳の視床下部(ししょうかぶ)にある満腹中枢の働きが活発になるため、食欲が満たされたと感じる。
ところがお酒を飲むと、肝臓はアルコールの主成分であるエタノールを処理する作業に入る。肝臓は糖の貯蔵庫のようなもので、ふだんは糖を体に分配する役目を担っているのだが、エタノールの処理に追われて分配ができなくなる。しかも、エタノールの処理のために体内のグルコースが使われるため、体に行きわたる糖が少なくなる。そのため、低血糖状態になって空腹を感じるのだ。
グルコースの供給源になるのは炭水化物なので、それを摂取せよというシグナルが脳に伝わり、何か食べたくなる。また、エタノールには利尿作用があり、飲んだぶんの最大で1.5倍が排泄されるため、体は失われた水分を欲しがる。
エタノールが体内に入ると、脳の活動も鈍って酔っ払った状態になる。脳は活動を正常に戻そうとして、ナトリウムイオンを多くしろと要求する。ナトリウムイオンを多く含んでいるのは「塩」である。
こうして、お酒を飲んだあとは、炭水化物、水分、塩分を欲しくなる。ラーメンは、この三つを兼ね備えているため、無性に食べたくなるのだ。お茶漬けを食べたくなるのも、同じ理由による。お酒を飲んだあとに甘い物が欲しくなるという人もいるが、これも炭水化物としてグルコースの供給源になるためである。
いうまでもないが、飲んだあと、しかも深夜にカロリーの高いものを食べるのは、太るもとだし健康に悪い。過剰な塩分も気になる。適度な水分をとる程度にしておきたい。