人は与えたものに対価が支払われないと、怒る/発達障害の仕事術

pixta_37414458_S.jpg仕事や人間関係がうまくいかない...「もしかして自分は大人の発達障害なのでは?」と悩む人が増えています。しかし、その解決策を具体的に示した本は少ないのが現状です。

本書『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』は発達障害の当事者が、試行錯誤と度重なる失敗の末に身につけた「本当に役立つ」ライフハック集。うつでもコミュ障でも、必ず社会で生き延びていける術を教えます!

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前の記事「「見えない通貨」のやり取りで人間関係はもっと楽になる/発達障害の仕事術(23)」はこちら。

 

人は与えたものに対価が支払われないと、怒る

人間は他者に与えたものに対して対価が支払われなかったとき、大変強い怒りを覚えます。観察の結果、そう考えるのが妥当だと僕は思いました。

親切にしてやったのに礼がないという怒りは、僕がかつて想像していたより遥かに深い。それは、商売人が商品を渡したのに対価が払われなかったときの怒りにすら近いのかもしれません。個人差はあるだろうけれど、大体それくらいの怒りだろうと僕は想定しています。僕は基本的に、自分が他人に親切にするときには特段対価を期待せずに生きてきました。「別にお礼を言われるつもりはないですよ。返したいなら何か役に立つもので返してよ」。そういう風にやってきました。だから、この辺は極めて雑に生きてきたと思います。

同様に、相手がしてくれたささやかな親切や好意に対して、僕は間違いなくきちんとした支払いをせずに生きてきました。そこに取引があったことにすら気づいていなかった気がします。考えてみれば、人間関係の上手なあの人もあの人も、僕がプレゼントしたささやかな親切に如才なくお礼を返して来ました。そりゃ、人間関係も破綻しますよね......。

もちろんこの「見えない通貨」は、部族によって違います。ウェイウェイ広告代理店の皆さんの間では「ウェイ」と言ったら「ウェイ」と返すのが通貨なのかもしれませんし、ラッパーの間では「現場」と言ったら「叩き上げ」と返すのが通貨なのかもしれません。

こういうテンプレート的なコミュニケーション作法も一種の「見えない通貨」です。ほぼこういった「お約束」みたいなコミュニケーションで回っているように見えるコミュニティーすらあります。「空気の読める人」はこの辺を意識せずにやれるようですが、僕から見ると信じられない能力です。

僕が 30 年かけて言語化した能力を生まれつき持っているのはズルいよ、というのが本音ですが。それでも、少しずつやっていくしかありません。「あいつは不器用だけど、努力はしているのが見える」という評価だけでも得られれば、相当人生はマシになります。やって損はありません。見えない通貨を介した取引がそこにある。そういう認識を持つことで人間関係はかなり大きく変化します。

 

【まとめ】
・部族の人間関係には「見えない通貨」が流通している
・人は、与えたものに対価が支払われないと怒る

  

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借金玉(しゃっきんだま)

1985年生まれ。診断はADHD(注意欠陥多動性障害)の発達障害者。幼少期から社会適応が全くできず、登校拒否落第寸前などを繰り返しつつギリギリ高校までは卒業。色々ありながらも早稲田大学を卒業した後、何かの間違いでとてもきちんとした金融機関に就職。全く仕事ができず逃走の後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも昇った角度で落ちる大失敗。その後は1年かけて「うつの底」から這い出し、現在は営業マンとして働く。

『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』

(借金玉/KADOKAWA)

社会生活がうまくいかず苦しむ「大人の発達障害者」が増えていると言われる現代日本。発達障害によって30歳を前に人生をほぼ破たんさせかけた著者が、試行錯誤で編み出した「発達障害者のため」の今日から使えるライフハックを多数紹介! 仕事や人間関係がうまくいかない全ての人のための「日本一意識が低い」自己啓発書です。

この記事は書籍『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』からの抜粋です
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