社会人の「うつ」回復には周囲の理解が不可欠! 約15%が生涯1度うつになる

1808p070_03.jpg近年、よく耳にする大人の「発達障害」。「ADHD(注意欠如多動性障害)」、ASD(自閉症スペクトラム障害)の一つである「アスペルガー症候群」などがあり、職場にうまく適応できず、精神科を受診する人が増えています。また、仕事のストレスなどで「うつ」を発症するリスクは、誰にでもあるといえます。大人の「発達障害」と「うつ」について、昭和大学医学部精神医学講座主任教授の岩波明先生にお話を伺いました。

前の記事「他人事ではない大人の「発達障害」と「うつ」。家族は理解と協力を(1))」はこちら。

 

急増する社会人の「うつ」発症は回復に周囲の人の理解が不可欠

「うつ」とは、気分が落ち込みやる気が出ず、仕事や日常生活に支障を来すことです。女性に多く、20歳前後に発症しやすいといえます。

 

うつの発症率は20歳前後の女性が高い
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「一生のうちに1度でもうつになる人は、約15パーセントにのぼるというデータがあります。かつては、真面目できちょうめんな人が発症しやすいといわれていました。しかし、厳しい職場環境が増えて、性格とは関係なく発症しているのが現状です」と岩波先生。

うつ患者は増加傾向にある1808p070_01.jpg

うつの人は仕事のストレスなどを我慢しがちです。最初は朝起きられないなどの症状がみられます。欠勤が数日間続く場合は、かかりつけ医や会社の産業医などを受診しましょう。

本人よりも家族や周囲の人が気付くケースがあるので、早めに受診を促します。「うつを発症する人の中には、ADHDの人もいます。仕事のミスが多く不安が強いため、うつになりやすいのです」(岩波先生)

回復に時間がかかることを周囲も理解

うつは抗うつ薬(内服薬)などで病状をコントロールします。重症の場合は入院することも。家族や周囲の人は、回復までに時間がかかることを理解します。

 
「回復して職場復帰しても、しばらくの間は簡単な仕事だけにしたり、残業なしにするなど、職場でもうつの人への配慮が必要です。いきなり以前と同じような働き方をするのは良くありません。再発のリスクが高まってしまいます」(岩波先生)

治療中はなかなか体調が元に戻らないため、本人も焦りが出るようです。周りの人が励ますのは、かえって良くない場合があります。

 
<うつ患者のエピソード>

不安と焦りからうつに。自ら命を絶とうとした
40代の男性Bさんはメーカーの研究室に勤務し、真面目で仕事熱心です。妻子がいます。あるときから、全てがうまくいかないと感じて不安にかられ、便秘と下痢を繰り返すように。欠勤が続いて職場での居場所もなくなったと悲観し、近所の雑木林で多量の安定剤を飲み、自ら命を絶とうとしました。幸い、散歩に来た人に発見され、救急車で精神科へ。入院して抗うつ薬による治療を受けて、2か月後に退院できました。

 

次の記事「発達障害やうつは「治療」と「就労支援」を上手に利用しよう(4)」はこちら。

取材・文/松澤ゆかり イラスト/オオノマサフミ


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岩波明(いわなみ・あきら)先生

昭和大学医学部精神医学講座主任教授。医学博士。著書は『発達障害』(文春新書)、『大人のADHD』(ちくま新書)など。

この記事は『毎日が発見』2018年8月号に掲載の情報です。

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