褒めて、褒めて、褒め上げよ。これで職場の人間関係は解決する/発達障害の仕事術

pixta_39467057_S.jpg仕事や人間関係がうまくいかない...「もしかして自分は大人の発達障害なのでは?」と悩む人が増えています。しかし、その解決策を具体的に示した本は少ないのが現状です。

本書『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』は発達障害の当事者が、試行錯誤と度重なる失敗の末に身につけた「本当に役立つ」ライフハック集。うつでもコミュ障でも、必ず社会で生き延びていける術を教えます!

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部族の三大通貨:褒め上げ

──褒めるとは、「音ゲー」である

「仕事を教わる」にも対価を払う

「見えない通貨」にもいろいろありますが、この世にはこれを払わなかったらその時点でとんでもないビハインドを食らうアレが存在しています。この世で最もシンプルで、どの職場でも使える最強の「見えない通貨」。それは、「褒め上げ」「面子」「挨拶」の3つです。
この3つを覚えれば、人間関係における9割の問題は解決すると言ってもいい。ぜひ覚えておいてください。

先輩が後輩に仕事を教えるのは業務ですよね。だからそれは当たり前のことで特段の感謝や敬意を示す必要などない。かつての僕の基本的な考え方はこうでした。しかし、これは大損をする考え方です。今なら「そりゃそうだ」と思えるのですが、当時は全く気づけませんでした。ここまでの話を総合すれば、ここで出てくるお話は大方想像がつくと思います。

「仕事を教わる」という商品は、一見タダに見えて決してタダではありません。教えてもらった分量に対して、感謝と敬意という対価を正しい方法で支払う。これが一番楽なやり方です。え?先輩の仕事の教え方がクソすぎて感謝が全く湧いてこないですか?

まぁそういうことはよくありますよね。

ところで、その先輩に「おまえの指導はクソだわ、全くわからねえ。おまえそもそもこの仕事理解してる?そういう風には全く見えねえんだけど」とか言ったとして、得ってあり得ますかね?多分、僕が想像する限りないと思います。そのレベルのことをやるなら、もう上司に直訴するほうがよっぽどスマートです。

人間を、それも自分より目上の人間を批判した結果、人間がポジティブな方向に変化する。こういうことは、あまり期待しないほうがいいと思います。正直、目下であっても大して期待値はないですね。

アルバイト時代から目上を批判することが大得意なフレンズとして生きてきた僕が言うんだから、間違いありません。ごく稀に「面白いやつだな」と認識されて得をしたこともなくはないですが、再現性を期待できるほどの確率ではありませんでした。1回だけですね(分母は 15 とかです。大学時代のライフワークは喧嘩してアルバイトを辞めることでした)。

仮に先輩の指導方法に問題があるとしても、感謝と敬意を支払って良好な関係を築いてから指摘したほうが得です。仕事の習得がうまくいかず先輩がイライラしだしたとして、その先輩に対してポジティブな結果を期待できるアプローチは基本的にこれしかないと思います。

いえ、ムッとした顔をして見せたらコミュニケーション方法を切り替えてくる人もたまにはいますが、基本的にはあまり期待はできません。1回軽くやってみて、ダメなら撤退することをすすめます。

 
褒めて、褒めて、褒め上げよ

そして、ここで「敬意」を示すスキルとして重要なのが「褒める」です。仕事を教えてくれる先輩と過ごす時間は必然的に長くなります。先輩としても、話していて気持ちのいい相手にはやさしくなるでしょうし、その逆は言うまでもありません。そのために、「敬意を示す」から「褒め上げる」にシームレスに移行していくことをおすすめいたします。一応仕事を教える立場で、「すごいですね」と言う機会がゼロという人はそうそういません(たまにはいます)。そういう機会を目ざとく見つけて「さすがですね」「勉強になります」などと歯の浮くような言葉を放り込んでいきましょう。

「褒める」と聞くとたいていの人はレトリックのほうを重視しがちですが、重要なのはむしろタイミングです。音ゲーに近いですね。相手が「これを承認して欲しい」というタイミングで、前記のような言葉を放り込みましょう。具体的には「どうだ、俺スゴいだろ?」と相手がドヤッているとき、その人の得意なもの、専門的な知識などが披露されたときは間違いありません。人によっては大変わかりにくいですが、じっくり観察していると自分が放り込んだ言葉が「ミス!」なのか「グッド!」なのか、あるいは「エクセレント!」なのかわかってきます。

さらに、褒め上げは1、2回うまくいくと連鎖的にどんどん簡単になります。相手の警戒心が解けるからです。逆に、表現を工夫して言葉で褒め上げるのはかなり上級のテクニックです。ある程度良好な関係が形成され、「こいつは本気で俺を賞賛している」と認識してくれれば通用しやすくなりますが、まずはタイミングです。これは「大して仕事はできないけどみんなに愛されているあいつ」などのサンプルが近くにいたら参考にしてみてください。かなりの確率でこれを実行しているはずです。

 

スマホに、自分に合った「褒め」を5パターン用意する

今のスマホには、録音アプリが入れられます。本気っぽく聞こえる賞賛のひと言に関しては、自分に合ったパターンを5個くらい練習しておくといいです。僕は、・え、それホントですか?

・それは......すごいですね(真顔で......の間を取る)
・勉強になります。
・すごい。
・うらやましいです。

の5つを暗記しています。とってもベタですが、これで足りてしまうんです。発声練習はしないとなかなかスッと言葉は出ません。やりましょう。人間は自分の声に対してかなり評価が厳しいです。自分で聞いて、「うん、気持ち悪くない。本気っぽく聞こえる」と思えれば、結構いいレベルに来ていると思います。実戦投入しましょう。

仕事の習得のやり方は業種によってさまざまだと思いますので、一般化したライフハックを提示するのは不可能です。しかし、誰かに仕事を教わるという要素があれば、このライフハックは大体どこでも使えます。また、これを少し応用すれば「別部署の人間と協働する」などのときもかなりスムーズに仕事ができると思います。

 

【まとめ】
・仕事を教えてもらうのはタダではない
・褒めるところがない先輩でも、ちゃんと褒めよう
・褒める語彙は必要ない。大事なのはタイミング

 

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借金玉(しゃっきんだま)

1985年生まれ。診断はADHD(注意欠陥多動性障害)の発達障害者。幼少期から社会適応が全くできず、登校拒否落第寸前などを繰り返しつつギリギリ高校までは卒業。色々ありながらも早稲田大学を卒業した後、何かの間違いでとてもきちんとした金融機関に就職。全く仕事ができず逃走の後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも昇った角度で落ちる大失敗。その後は1年かけて「うつの底」から這い出し、現在は営業マンとして働く。

『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』

(借金玉/KADOKAWA)

社会生活がうまくいかず苦しむ「大人の発達障害者」が増えていると言われる現代日本。発達障害によって30歳を前に人生をほぼ破たんさせかけた著者が、試行錯誤で編み出した「発達障害者のため」の今日から使えるライフハックを多数紹介! 仕事や人間関係がうまくいかない全ての人のための「日本一意識が低い」自己啓発書です。

この記事は書籍『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』からの抜粋です
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