古くから「飲む点滴」ともいわれる「甘酒」。オリゴ糖や麹菌が腸内環境を整え、ビタミンB群も含むので、疲労回復や風邪予防が期待できるんです。そんな甘酒は、毎日60mlほど摂るのがおすすめなんだそう。そこで、料理研究家・管理栄養士の牧野直子さんに、甘酒の作り方から、料理への活用法までを教えていただきました。
甘酒を飲んで、食べて、健康に
米と米麹を合わせ、発酵させてできる甘酒。
発酵の過程で炭水化物が分解され、私たちのエネルギーのもと・ブドウ糖になっているので体に吸収されやすく、古くから「飲む点滴」ともいわれています。
オリゴ糖や麹菌が腸内環境を整え、ビタミンB群も含むので疲労回復や風邪予防も期待できます。
栄養成分たっぷりの甘酒は、毎日60mlほど摂るのがおすすめ。
手作りの甘酒なら飲むだけでなく、料理にも応用でき、日々の食事に取り入れるのにぴったりです。
炊飯器で手軽にできるので、ぜひ試してみてください。
1.「甘酒」の作り方
一晩、保温調理するだけ!米麹と炊飯器で甘酒作り
全量で1,109kcal/塩分0.0g
材料(作りやすい分量・できあがり800ml)
米...1合
米を炊く水...360ml
ご飯を冷ますための水...360ml
米麹(乾燥)...200g
米麹には生と乾燥がありますが、甘酒は手に入れやすい乾燥の米麹でOK。
作り方
① 米に水360mlを加え、やわらかめに炊く。ご飯が炊けたら、保温のまま水360mlを加えて混ぜ、冷ます。
② 米麹をほぐし加えてよく混ぜる。
③ 炊飯釜に濡れ布巾をかける(こまめに替える場合は1枚、放置する場合は2枚がおすすめ)。
④ ③の状態で保温のまま約8時間おけば、できあがり。
※麹の粒をなくしたい場合はミキサーで攪拌する。
●保存方法
保存容器に入れて冷蔵で約1週間保存可能。冷凍の場合は保存用密閉袋に入れ、空気を除いて袋を閉じ、約1カ月保存可能。飲むなら冷蔵室で解凍、調理ならそのまま割って加えてもOK。
できた甘酒は...
●調味料として使えます
甘み付けのみりんや砂糖などの代わりに甘酒を使います。
●ミキサーにかけて飲料に
麹の粒が残っているので、水を加えてミキサーにかけると飲みやすくなります。甘酒2に対し水1の割合がおすすめ。
●漬け床にしてもOK
発酵パワーでたんぱく質を分解するので、肉や魚をやわらかくしてくれます。
▶詳しい記事はこちら:一晩、保温調理するだけ! 米麹と炊飯器で「甘酒」を作ってみませんか?
2.甘酒で作る「小鉢」料理レシピ
毎日食べたい!さっと作れる「甘酒小鉢」
シンプルなのに深みがのアップ
「ほうれん草あえもの」
1人分29kcal/塩分0.7g
材料(2人分)
ほうれん草...150g
(A)甘酒...大さじ1
(A)しょうゆ...大さじ1/2
作り方
① ほうれん草はさっとゆでて水けを絞り、3~4cm長さに切る。
② ①に混ぜ合わせたAを加えてあえる。
オリーブ油との相性もバツグン!
「きのこのオリーブオイルあえ」
1人分63kcal/塩分0.2g
材料(2人分)
しめじ、まいたけ...計200g
(A)甘酒...大さじ1
(A)オリーブ油...小さじ2
(A)塩...小さじ1/4
作り方
① きのこはほぐして耐熱ボウルに入れ、ラップをかけて600Wの電子レンジで約2分加熱し、粗熱をとる。
② ①に混ぜ合わせたAを加えてあえる。
優しい甘みでだしの旨みがアップ
「甘酒卵焼き」
1人分269kal/塩分1.3g
材料(2人分)
(A)溶き卵...3個分
(A)甘酒...大さじ4
(A)だし汁...1/4カップ
(A)薄口しょうゆ...小さじ2
サラダ油...大さじ2
作り方
① ボウルにAを入れてよく混ぜる。
② 卵焼き器に油を中火で熱し、温まったら余分な油を除いて取り置く。①の1/3量を流し入れて焼く。全体が固まってきたら手前に寄せてから奥へ滑らせる。手前のスペースに油をひいて残りのの半量を加え、火が通ったら奥から手前に巻き、奥へ滑らせる。同じ要領で残りの①を加えて焼く。
▶詳しい記事はこちら:優しい甘味でやわらかい味わいに。さっと作れる「甘酒小鉢レシピ」5選
3.「甘酒」おかずレシピ
まろやかなスープごといただく
「鶏肉の甘酒鍋」
1人分271kcal/塩分2.5g
材料(2人分)
鶏もも肉...小1枚
水菜...2株
しめじ...1パック
昆布だし...1 1/2カップ
(A)甘酒...大さじ3
(A)しょうゆ...大さじ1 1/2
作り方
① しめじはほぐし、水菜はざく切りにする。鶏肉はひと口大に切る。
② 鍋に昆布だし、鶏肉を入れて中火にかける。煮立ったらアクを除き、Aを加えて煮る。再び煮立ったら、しめじ、水菜を加え、火が通るまで煮る。
ホワイトソースが軽い仕上がりに
「えびとブロッコリーの甘酒グラタン」
1人分357kcal/塩分1.9g
材料(2人分)
むきえび...150g
ブロッコリー...1/2株
玉ねぎのみじん切り...1/4個分
バター...大さじ2
小麦粉...大さじ3強
牛乳...1カップ
甘酒...大さじ2
顆粒コンソメ...小さじ1
粉チーズ...大さじ2
作り方
① ブロッコリーは小房に分け、塩ゆでする。
② フライパンにバターを入れて弱火で熱し、溶け始めたら玉ねぎを加えて炒め、玉ねぎが透き通ったらえびを加えて色が変わるまで炒める。小麦粉をふり入れて粉っぽさがなくなるまで炒め、牛乳を少しずつ加えてのばす。全体にとろみがついてきたら甘酒、残りの牛乳、コンソメを加えて煮る。
③ ひと煮立ちしたらブロッコリーを加えて混ぜ、耐熱皿に移し入れる。粉チーズをまんべんなくふり、予熱したオーブントースターでフツフツして焦げ目がつくまで約10分焼く。
肉は漬け床ごと調理して
「かぶと鶏肉のみそ味炒め」
1人分249kcal/塩分1.2g
材料(2人分)
鶏むね肉...小1枚
(A)甘酒...大さじ1
(A)みそ...大さじ1
(A)しょうがのおろし汁...1かけ分
かぶ(葉つき)...2個
サラダ油...大さじ1
七味とうがらし...少々
作り方
① 鶏肉はそぎ切りにし、Aとともにポリ袋に入れてなじませ、約30分おく。
② かぶはくし形に切る。葉1個分は株元から約10cmを取り置き、さっとゆでてざく切りにする。
③ フライパンにサラダ油を中火で熱し、①を入れて焼く。焼き色がついたらかぶを加えてふたをして蒸し焼きにし、肉に火が通ったらかぶの葉を加えて炒める。器に盛り、七味とうがらしをふる。
▶詳しい記事はこちら:疲労回復や風邪の予防にも。主役級の「しっかり甘酒おかず」レシピ6選
4.「甘酒漬け」のススメ
《肉や魚を漬ける》
麹菌がたんぱく質を分解するので、漬けおくことで肉や魚がしっとりやわらかくなります。
《野菜を漬ける》
麹菌の働きで、おいしい漬物がすぐできます。
野菜の重量に対し米麹の甘酒を30%、塩は甘酒の10%の割合で一晩漬けおきましょう。
保存用密閉袋でOKです。
5.鍋一つでできる「酒粕甘酒」もぜひ!
米麹の甘酒とは作り方も栄養も全く異なる酒粕甘酒。
食物繊維やビタミンが豊富ですが、微量のアルコールも含みます。
酒粕は板状のものと液状のものがありますが、今回は板状のものを使用。
材料(作りやすい分量・できあがり600ml)
酒粕(板状)...100g
水...500ml
砂糖...大さじ3
塩...少々
全量で331kcal/塩分0.5g
作り方
① 鍋に酒粕をちぎり入れる。
② 水を加えて一晩おく(一晩おくことで溶けやすくなる)。
③ 砂糖、塩を加えて弱火にかけ、焦げないように時々混ぜながら煮溶かす。周りがフツフツして湯気が立ってきたら火を止める。
※保存容器に入れ冷蔵で2~3日間保存可能
アレンジしてもおいしい♪
ヨーグルトと果物でさわやかに「甘酒スムージー」
全量で156kcal/塩分0.1g
材料(作りやすい分量)
酒粕甘酒...1/2カップ
ヨーグルト...1/4カップ
りんご...1/2個
作り方
りんごはひと口大に切り、残りの材料とともにミキサーに入れ、なめらかになるまで攪拌する。
▶詳しい記事はこちら:豆乳を加えたヘルシーな「甘酒しるこ」も。鍋一つでできる「酒粕甘酒」を作ってみませんか?
取材・文/岸上佳緒里 撮影/吉田篤史