加熱しても栄養価が減少しない、優れた食品である「卵」。管理栄養士で料理研究家の村上祥子さんも「毎朝心がけて食べている」といいます。そこで、村上さんに、卵の新常識や、冷蔵庫に常備してすぐ食べられる活用法をお聞きしました。
写真右から
【煮卵】麺つゆを使って作る煮卵。だしの香りが漂い、黄身はトロリと半熟です。
【ゆで卵ピクルス】そのままでももちろん。サラダに添えたりといろいろ使いやすいです。
【塩卵】料理の付け合わせに便利。酢を加えて作るので塩分はかなり控えめです。
私が毎朝心がけて食べているのが卵です。
煮卵などを冷蔵庫に常備して、すぐに食べられるようにしてあります。
卵は加熱しても栄養価が減少しない優れた食品です。
「脳の栄養」と呼ばれる卵黄コリンに注目!!
卵はアミノ酸、ビタミン、ミネラルをバランスよく含んだ「完全栄養食品」。
特に卵黄に含まれる脂質の中にはリン脂質と呼ばれるものが30%含まれています。
そのリン脂質のほとんどが、ホスファチジルコリンといわれる成分です。
高知医科大学(現高知大学)学長であった、アルツハイマー型認知症の権威・池田久男博士は、ラットを使って認知症やパーキンソン病を予防改善する研究を行ってこられました。
ホスファチジルコリンを含むリン脂質を「卵黄コリン」と命名して研究を進め、その結果、ビタミンB12と卵黄コリンをいっしょに摂ると認知症が劇的に改善されることを突き止めました。
詳しくはこちら:「脳の栄養」と呼ばれる卵黄コリンに注目! 知っておきたい「卵の新常識」
Q.卵は1日何個を目安に食べるのが良いですか?
A.現在、健康な人は1日2個の卵の摂取が望ましい、と厚生労働省では推奨しています。
栄養面のバランスも良く、価格も安定している卵は毎日欠かさずに摂りたい食品です。
保存のきく煮卵などにして、調理なしですぐ食べられるようにストックしておくと、便利ですよ。
Q.卵黄と卵白ではどちらが栄養的に優れていますか?
A.たんぱく質、卵黄コリン、ビタミン類などは卵黄にたくさん含まれていて、栄養面という点からは卵黄の方が優れている、といえそうです。
ですが、卵白もビタミンB群やたんぱく質を含み、脂肪を含まないので低カロリー。
そして細菌に対抗するリゾチームという成分も含んでいます。
卵は卵黄、卵白ともに食べるのが良いでしょう。
詳しくはこちら:1日何個が目安? コレステロールは心配ない?「卵をめぐる7つの疑問」ウソ・ホント
麺つゆを使って手軽にできます。世界一おいしい煮卵の作り方
煮卵1個分77kcal/塩分0.8g
材料(10個分)
卵...10個
麺つゆ(2倍濃縮)...300ml
作り方
【半熟卵を作る】
① ボウルに水1.5Lと氷500g(いずれも分量外)を入れて冷水を用意する。
② 鍋に水1.5L(分量外)を入れて沸騰したら、お玉などで冷蔵庫から出したばかりの卵を1個ずつ加える。ふつふつ煮立つ程度の中火で6分加熱し、火を止める。
③ ①の氷水に網じゃくしで卵を移し、3分浸す。
3分氷水に浸けると殻がむきやすい。
《ゆで時間の目安》
- 黄身がトロトロに仕上げたいとき...6分加熱
- もう少し固めに仕上げたいとき...7分加熱
- 固ゆでに仕上げたいとき...12分加熱
【殻をむく】
④ 平らな硬い場所で卵の天地をコンコンと打ちつける。
⑤ 横にしてゴロゴロと側面を転がして卵全体にヒビを入れる。
全体にヒビを入れるとすぐむける。
⑥ 氷水の中で殻をむく。
【漬ける】
⑦ ふた付きの容器に麺つゆを注ぎ、⑥の卵を加える。
⑧ キッチンペーパー1枚をかぶせる。ふたをして冷蔵庫に入れる。
⑨ 4時間このまま漬けたら汁から引き上げ、ふた付き容器に移して冷蔵する。
漬けたままにすると黄身が固くなる。
詳しくはこちら:「麺つゆに4時間」がポイント!村上祥子さん「手軽で本当においしい煮卵」の作り方
野菜もいっしょに!スパイスも加えて!
ゆで卵ピクルスの作り方
ゆで卵ピクルス1個分77kcal/塩分0.7g
材料(500ml瓶×1本分)
半熟卵(上記参照して作る)...5個
野菜(にんじん、きゅうり、大根、パプリカ、 ピーマン、セロリなどひと口大に切る)...合わせて200g
ピクルス液の材料
ローリエ...1枚
シナモンスティック...1本
粒黒こしょう...小さじ1
赤とうがらし...1本
にんにく...1片
酢...50ml
砂糖...50g
塩...小さじ1/2
水...200ml
作り方
①瓶にピクルス液の材料を入れてよく混ぜる。
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②卵を入れる。
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③野菜を入れたらふたをして冷蔵する。翌日からおいしく食べられる。
●冷蔵で1週間保存可能。
●タルタルソースや卵サンドを作るときに使うと便利。
酢を加えてかなり減塩。料理のトッピングにも便利!
「塩卵」の作り方
塩卵1個分77kcal/塩分0.7g
材料(500ml瓶×1本分)
半熟卵(上記参照)...5個
水...300ml
(A)酢...大さじ1
(A)砂糖...小さじ1 1/2
(A)塩...小さじ1 1/2
(B)赤とうがらし(輪切り)...小さじ1
(B)昆布(4cm角)...1枚
(B)レモンの輪切り...1枚
作り方
① 瓶にA 、Bを入れ、水を注ぎ、よく混ぜて砂糖と塩を溶かす。
② 卵を入れ、ふたをして冷蔵する。翌日からおいしく食べられる。
●冷蔵で1週間保存可能。
●漬け汁はもう1回使える。
詳しくはこちら:ひと手間かけた半熟卵が主役です♪「塩卵」レシピ2選
1.レンジで温泉卵
① コーヒーカップに水大さじ3を入れ、冷蔵庫から出したばかりの卵を割り入れる。このとき、卵の上に水がかぶっていることを必ず確認する。こうすると爆発を防げる。
② お皿をかぶせて電子レンジに入れ、600W1分にタイマーをセットする。
③ 加熱し、50秒たったところで一度開けてみてふたを取り、白身の固まり具合を見てまだ固まっていないときは、後残り10秒加熱する。
水をきって、しょうゆやだしをかける。1個分77kcal/塩分0.1g
詳しくはこちら:村上祥子さんが教える「カンタン!卵料理」3選
冷めても固くならない。作りおきおかずにもおすすめ!
絶品! ふわふわだし巻き卵
1人分205kcal/塩分1.3g
材料(幅13cm×長さ19cmの卵焼き器1個分)
卵...4個
だし...1/2カップ
※削りがつお小1パック(2.5~3g)に熱湯120mlを注ぎ、10秒おいてこす。
(A)砂糖...大さじ1
(A)片栗粉...小さじ1
(A)塩...小さじ1/4
(A)しょうゆ...1~2滴
サラダ油...適量
作り方
① ボウルに人肌程度に冷ましただしを入れ、Aを加えて混ぜる。
② 卵を加え、泡立てないようにほぐして混ぜる。
③ 卵焼き器に油を5mm深さまで入れ、煙が出るくらいまで温めたら、油をボウルにあける。
④ あけた油にティッシュ2枚を丸めて浸し、ティッシュで油を卵焼き器にたっぷり塗る。
⑤ ②の卵液をお玉1杯分流し入れる。
⑥ 強火で卵焼き器を揺すりながら、箸で卵液をかき回す。
⑦ 半熟状になったら、まとめながら向こう側へ寄せる。へらやターナーを使っても良い。空いた鍋肌に油を塗る。
⑧ 卵液お玉1杯分を流し入れる。
⑨ 箸を卵の下に差し込み、卵焼き器を傾けて卵液を卵の下に流す。
⑩ まとめながら向こう側へ寄せる。
⑪ 油を塗り、卵液を入れ、寄せるを何回かくり返す。
⑫ 最後の卵液を入れたら、手前に二つ折りにして寄せる。
⑬ できあがったら巻きすにのせて包み、輪ゴムで留めてそのまま1分ほど落ち着かせる。巻きすの代わりにラップで巻いても良い。
詳しくはこちら:冷めても固くなりません♪ 村上祥子さんが教える「ふわふわだし巻き卵」の作り方
取材・文/石井美佐 撮影/スタジオCOM(中野正景・江口 拓)