加熱しても栄養価が減少しない、優れた食品である「卵」。管理栄養士で料理研究家の村上祥子さんも「毎朝心がけて食べている」といいます。そこで、村上さんに、卵の新常識や、冷蔵庫に常備してすぐ食べられる活用法をお聞きしました。今回は卵をめぐる7つの疑問「卵のウソ・ホント」について教えていただきました。
Q.卵は1日何個を目安に食べるのが良いですか?
A.現在、健康な人は1日2個の卵の摂取が望ましい、と厚生労働省では推奨しています。
栄養面のバランスも良く、価格も安定している卵は毎日欠かさずに摂りたい食品です。
保存のきく煮卵などにして、調理なしですぐ食べられるようにストックしておくと、便利ですよ。
Q.卵のコレステロールは心配しなくていいのでしょうか?
A.かつてはコレステロール値が高い人はコレステロールを含む食品は極力控えるという指導がされましたが、現在では食事からのコレステロールの摂取が血液中のコレステロール値に影響するわけではないと考えられています。
卵黄のコレステロールは血中の悪玉コレステロールを増やさないことも、医学的に解明されています。
Q.卵黄コリンを効率良く働かせるには、どんな食品と食べ合わせるのが効果的ですか?
A.認知症予防に効果が認められる卵黄コリンはビタミンB12を含む食品と摂ると効果が高いといわれます。
ビタミンB12は牛・豚・鶏のレバー、チーズ、牛乳、いわしなどの青魚、のりなどに多く含まれています。
Q.卵が良質のたんぱく質源といわれるのはなぜですか?
卵は9種類の必須アミノ酸をすべて含んでいるので良質なたんぱく質とされています。
アミノ酸は筋肉や体の各組織を作るのに欠かせないものです。
たんぱく質が不足すると筋肉も減少してしまいます。
卵は消化吸収がよいので、子どもから高齢者まで、どんな世代の人たちにもおすすめできる優秀な食品といえます。
Q.卵にはビタミンも多いのでしょうか?
A.卵はビタミンC以外ほぼすべてのビタミンを含んでいます。
特に骨を作るのに欠かせないビタミンDを手軽に摂取できる数少ない食品です。
ほかにもビタミンA 、B群、Eも含んでいます。
Q.白い卵と茶色の卵では栄養に違いはありますか?
A.栄養面や味の差はありません。
白と茶色で殻の色が違うのは産んでいる親鶏の色の違いです。
Q.卵黄と卵白ではどちらが栄養的に優れていますか?
A.たんぱく質、卵黄コリン、ビタミン類などは卵黄にたくさん含まれていて、栄養面という点からは卵黄の方が優れている、といえそうです。
ですが、卵白もビタミンB群やたんぱく質を含み、脂肪を含まないので低カロリー。
そして細菌に対抗するリゾチームという成分も含んでいます。
卵は卵黄、卵白ともに食べるのが良いでしょう。
取材・文/石井美佐 撮影/スタジオCOM(中野正景・江口 拓)