液晶テレビの画面では、液晶がねじれたり戻ったりしている/すごい技術

pixta_29581883_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?

身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

◇◇◇

前の記事「FMとAMでは、音声の電波への"乗せ方"が違う/すごい技術(11)」はこちら。

 

●薄型テレビ

外見は同じでも、薄型テレビには二つの方式が普及している。「液晶方式」と「有機EL方式」だ。どう違うのだろう。

放送のデジタル化に合わせるように、薄型テレビが普及した。薄くてコンパクト、デザイン的にもすっきりして部屋に調和する。

薄型テレビのパネル前面は、細かく格子(こうし)状に区切られた画素で構成されている。その画素の構造の違いから、「液晶テレビ」と「有機ELテレビ」に分類される。

液晶テレビの画素には、液晶と呼ばれる物質が利用される。液晶とは液体と結晶との中間の性質を持つ物質で、ミクロに見ると細長く曲がりにくい分子でできている。1888年に見つけられたが、それから1世紀近くたった1963年、電気的な刺激に対して光の通し方を変えることが発見された。

gijutsu_p095.jpg

 

これが液晶応用の契機(けいき)になったのだ。この液晶を利用して、どのように映像を表示するのだろうか。代表的なTN型と呼ばれる画素のしくみを見てみよう。TN型は同方向に並べた2枚の偏光板(へんこうばん)で液晶を挟み、片方の偏光板を直角によじった構造を持つ。バックライトの光は、パネル裏面で偏光されて液晶に入るが、細長い分子の並びに誘導されて偏光方向を変え、パネル前面の偏光板から遮(さえぎ)られずに出ていけるようになっている。

画素に電圧をかけると、液晶はねじれを戻す性質がある。裏面からの光は偏光を変えず、反対側の偏光板で遮断されてしまう。こうして、電気のオン・オフで光の点滅が制御できることになる。これが液晶テレビのしくみだ。

次に、有機ELテレビを見てみよう。有機ELテレビは、電流を流すと光る有機物(有機EL)を発光体に利用している。画素自らが発光するので、フィルターを通す液晶テレビに比べて画像が鮮やかになり、また構造も簡単になる。市販の有機ELテレビが薄いのはこのためだ。また、原理的にエネルギーの無駄が少なく、使用電力が小さくてすむ。

ちなみに、有機物が光るのは奇異に感じられるが、ホタルが光ることを思えば納得がいく。ホタルは体内の電気を光に変えているのである。

gijutsu_p097.jpg

 

次の記事「光ディスクの容量は、刻まれたくぼみの数と密度で決まる/すごい技術(13)」はこちら。

 


涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。


涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


71wldThg5lL.jpg

『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

身近なモノに秘められた“感動もの”の技術、一挙解説! 身近な文具から、便利すぎるハイテク機器まで…あれもこれも、すべて「科学技術」の結晶なのです。日ごろよく使う「モノ」の“すごい技術”を図解でわかりやすく解説します。

この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

この記事に関連する「暮らし」のキーワード

PAGE TOP