FMとAMでは、音声の電波への「乗せ方」が違う/すごい技術

pixta_29581952_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?

身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

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●FM・AM放送

ラジオ放送には、FM放送とAM放送があるが、FMのほうが音質がいいのは、そもそもなぜなのだろう。

放送の世界ではデジタルたけなわの現代だが、アナログで頑張っているものがある。ラジオ放送だ。災害にも強く、深夜族の若者にも人気だ。

ラジオ放送には、FM放送とAM放送がある。どう違うのだろう。大きな違いは、次の三つである。

最初に挙げられるのは変調方式である。音声は物理的にいうと音の波(音波)だが、そのままでは放送電波に変換できない。音波の周波数が電波の周波数に比べて、あまりにも小さいからだ。そこで、音波を電波に変換するのではなく、サーフィンのように電波の上に乗せて放送する。これが変調である。乗せる電波を搬送波(はんそうは)という。AMとFMとはその変調の方式名だ。

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AMとは振幅(しんぷく)変調を、FMは周波数変調を略したもの。その言葉通り、AMは音波を「搬送波の振幅の変化」で表現し、FMは音波を「搬送波の周波数の変化」で表現する。雑音電波はおもに電波の振幅に影響する。したがって、AMの電波は雑音の影響をもろに受けることになる。これが、FM放送のほうが音質のいい理由の一つだ。

二つ目の違いはチャンネルの幅である。FM放送のほうがAM放送よりも広い設定になっている。放送情報を水にたとえると、チャンネルはその水を送るパイプにたとえられる。この比喩(ひゆ)を用いるなら、FM放送のほうがAM放送よりもパイプが太いのである。そこで、FM放送のほうがAM放送よりも原音を忠実に再現できることになる。

三つ目の違いは、一部を除いて現在のFM放送がステレオ放送、AM放送はモノラル放送、ということだ。FM放送のほうが臨場感を伝えられるのはこのためである。

ステレオ放送は左右の音声を主信号副信号に分け、副信号はさらに副搬送波に乗せてから搬送波に乗せる。主信号は客室に、副信号は車に乗せ、まとめてフェリー(搬送波)に乗せて送るようなものである。こうして、左右の音声を混線させることなく放送できるのだ。

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涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。


涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


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『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

身近なモノに秘められた“感動もの”の技術、一挙解説! 身近な文具から、便利すぎるハイテク機器まで…あれもこれも、すべて「科学技術」の結晶なのです。日ごろよく使う「モノ」の“すごい技術”を図解でわかりやすく解説します。

この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

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