「坐骨神経痛」という病気はない!? 坐骨神経痛の名前に隠された、代表的な「4つの疾患」

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『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』 (おると/KADOKAWA)第8回【全11回】

マッサージの効果から湿布の貼り方、薬の飲み方まで、私たちの日常には多くの医学知識が必要とされています。しかし、それらを正しく実践できている人は意外と少ないかもしれません。X(旧Twitter)で医療情報を発信し、フォロワー数12万(2024年2月時点)を有する話題の整形外科専門医・おると先生による『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』は、勘違いしがちな日常の中の医学知識を、丁寧に解説してくれます。自分の習慣は問題がないのか、一度チェックしてみましょう。

※本記事はおると著の書籍『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。


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ありえない!「診断名:坐骨神経痛」

<Check>
・よく耳にする坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)、これは実は病名ではありません。
・坐骨神経痛を引き起こす原因を突き止め、その治療を開始することが基本

坐骨神経痛という言葉は、みなさんもよく耳にしていると思います。

外来などでも患者側から耳にすることも多い単語のうちの一つですが、たまに「以前、坐骨神経痛といわれました」とか、「坐骨神経痛でしょうか?」などと聞かれたりすることがあります。

パッと聞くと普通のやりとりに聞こえるかもしれませんが、整形外科医としては違和感しかない会話になります。

なぜなら、坐骨神経痛は病気の名前ではないからです。

そもそも坐骨神経とは、腰椎などから分かれて出てきた神経根が集まってできている身体の中でも最も太い神経で、ひざ上あたりからいくつかの枝に分かれながら足先まで分布します。この坐骨神経がなんらかの原因によって障害されると、坐骨神経が支配しているお尻や下肢の外側、後面に痛みやしびれなどの症状が現れます。

障害の程度によっては、激烈な痛みが出現したり、痛みだけではなく麻痺なども起こり、歩行が困難になったりすることもあります。

つまり、あくまで坐骨神経痛は症状の名前であり、診断名ではないのです。咳が出たらその原因となる病気を検査で調べるのと同じで、坐骨神経痛が出たらその原因となる病気を検査で調べる必要があります。

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おると
整形外科専門医。診療にあたりながら、自身の転職経験をもとにしたブログ「フリドク」やX(旧Twitter)を2018年より開始。正しい医療をわかりやすく発信するスタイルや世間のネットニュースについての専門医目線での解説、ニセ医療解説などが大きな反響を呼び、現在12万人を超えるフォロワーを有する(2024年2月時点)

※本記事はおると著の書籍『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
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