イヌに咬まれたら4~20%、ネコだと60~80%感染とも。ペットに咬まれたときの「リスクと対策」

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『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』 (おると/KADOKAWA)第2回【全11回】

マッサージの効果から湿布の貼り方、薬の飲み方まで、私たちの日常には多くの医学知識が必要とされています。しかし、それらを正しく実践できている人は意外と少ないかもしれません。X(旧Twitter)で医療情報を発信し、フォロワー数12万(2024年2月時点)を有する話題の整形外科専門医・おると先生による『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』は、勘違いしがちな日常の中の医学知識を、丁寧に解説してくれます。自分の習慣は問題がないのか、一度チェックしてみましょう。

※本記事はおると著の書籍『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。


イヌに咬まれたら4~20%、ネコだと60~80%感染とも。ペットに咬まれたときの「リスクと対策」 整形外科医が教える家族の身体を守る医学的ライフハック_記事2アイキャッチ.jpg

ペットに咬まれたら、どうしたらいい?

<Check>
・動物に咬まれたら、流水で洗浄し、速やかに病院で診てもらうべき
・ヒトに咬まれても感染が起こる。受診の際は正直に申告しよう

動物咬傷(こうしょう)は、動物に咬(か)まれたことでできる傷のことで、特にイヌやネコといったペットに咬まれることが多いため、ペット咬傷と呼ばれることもあります。イヌの場合は咬む力が強いため、皮膚などの損傷が大きくなる傾向があります。一方、ネコの場合、一見傷は小さく見えがちですが、細く鋭い牙が深く刺さるため、犬より感染が起こりやすいとされています。

動物咬傷の場合、感染は大きな問題となります。イヌもネコも口の中にはたくさんの細菌がいるため、咬まれると高い確率で感染が起きます。イヌに咬まれた場合4~20%、ネコに咬まれた場合はさらに高く、60~80%感染するといわれています。

様子を見ているうちに、傷が悪化し病院を受診しなければいけないケースはよくあります。しかし、悪化してからでは治療が難しくなるばかりです。感染の程度によっては抗生物質の内服や点滴だけでは足りず、切開手術が必要となったり、切断に至るケースもあります。動物に咬まれたら、まず水道水などの大量の流水で患部を洗い流し、速やかに整形外科や形成外科を受診し、治療を受けてください。医師が状況を聞いて適切な抗菌薬を処方してくれるでしょう。創部の状態によっては破傷風の予防などが必要となるケースもあります。

なお、ヒトに咬まれた場合も同様に、感染が起こるリスクがあります。喧嘩で相手を殴ってしまった際にこぶしが歯に当たってケガをしたり、介護の現場などで噛まれてしまったりなど、ケースはさまざまです。特に喧嘩などの場合、事情を黙ったまま受診をする方がたまにいますが、適切な抗生物質が選択できず、重症化してしまうケースもあります。

 

おると
整形外科専門医。診療にあたりながら、自身の転職経験をもとにしたブログ「フリドク」やX(旧Twitter)を2018年より開始。正しい医療をわかりやすく発信するスタイルや世間のネットニュースについての専門医目線での解説、ニセ医療解説などが大きな反響を呼び、現在12万人を超えるフォロワーを有する(2024年2月時点)

※本記事はおると著の書籍『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
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