「舌」が鼻呼吸に関係している!? 食べる、話すだけじゃない、意外と知らない舌がもつ「5つの役割」

【本作を第1回から読む】あなたは大丈夫? 「舌」の状態からカラダの調子をチェックできる5つのポイント

『舌こそ最強の臓器』 (桂文裕/かんき出版)第2回【全5回】

食事から発声、さらに呼吸や体のバランス維持まで、「内臓の鏡」と呼ばれる舌は、私たちの想像以上に多くの役割を持つ「臓器」です。しかし、私たちが舌について知っていることはごくわずか。耳鼻咽喉科専門医・桂文裕先生による『舌こそ最強の臓器』は知られざる「舌」の役割を知り、健康維持に活かすための一冊です。本書から、私たちの健康に深くかかわる舌を使った健康法を紹介します。

※本記事は桂文裕著の書籍『舌こそ最強の臓器』(かんき出版)から一部抜粋・編集しました。


舌がもつ5つの役割

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舌のつくりを頭に入れたところで、舌にはどんな役割があるかを考えてみましょう。

舌には大きく次の5つの役割があります。

【役割1】味覚~食べものを味わい、必要な栄養素を見分ける

舌でもっとも知られているのは、味覚機能でしょう。

味蕾に備わった味細胞には、いくつかのタイプがあり、それぞれが特定の味わいに反応しながら、その刺激を脳に伝えています。

人間が感じる味覚は、塩味、甘味、苦味、酸味、うま味という5つ。それぞれに対応する味細胞が存在しています。

味覚には、次のような働きがあります。

塩味:カラダに欠かせない必須ミネラルのナトリウムを見分ける。
甘味:基本的なエネルギー源となる糖質を見分ける。
苦味:口にするのが危険な毒物などを察知する。
酸味:腐った食べものを見分ける。
うま味:アミノ酸を探知する。日本人が発見した味覚であり、日本食(和食)の美味しさの秘訣とも言われている。カツオ節に含まれるイノシン酸、昆布に含まれるグルタミン酸、干し椎茸に含まれるグアニル酸などがある。

また、脂質に反応する味細胞も発見されています。

【役割2】咀嚼嚥下~食べものを味わい、噛んでつぶして丸めて飲み込む

舌は食べものの味を感じるだけではなく、並行して行われる咀嚼と嚥下にとっても重要な働きを担っています。

舌は歯で噛みつぶした食べものを、口のなかで唾液と絡めて丸め、飲み込みやすい塊にして食道へと送り込んでいます。餅つきに例えるなら、口のなかが「臼」、噛み砕く歯が「杵」、咀嚼筋が「杵のつき手」、唾液が「打ち水」、そして舌は「こね手」になります。食べものは自ら、前歯と奥歯を自在に移動できるわけではありません。この移動を助けているのが舌。最終的には、上アゴを「のし板」(そば打ちなどで使うまな板のような調理器具です)のように使いながら、そば粉を両手で丸めるように、舌が飲み込みやすい形に丸め、上アゴ全体に圧力をかけて食道へ押し出しています。

舌力が低下すると、餅つき名人のような歯と舌の共同作業が崩れてしまい、噛む→つぶす→丸める→飲み込むという一連の動きに支障が出るようになり、むせてしまうこともあります。

 

桂文裕
医療法人秀康会ましきクリニック院長。医学博士/日本耳鼻咽喉科学会専門医/上益城郡医師会理事。1964年、熊本生まれ。熊本大学医学部を卒業し耳鼻咽喉アレルギー科を専攻。大学病院時代は頭頸部がん治療に従事し、がん手術や最先端の免疫治療を行い治療成績の向上に貢献。舌との関わは深く「舌がんに対するリンパ球免疫療法」のテーマで医学博士を取得。2003年、熊本県益城町に「ましきクリニック」を開設。2016年に起きた熊本地震によって甚大な被害を受けたが、復興活動や避難住民の健康管理に携わり、「病気にならない町づくり」が自分の使命と確信。イベントや健康セミナーを定期的に開催し、町を元気にする活動を続ける。耳鼻咽喉科専門医として舌を診た患者数はのべ数十万人に及び「舌博士」としてマスコミにも出演多数。著書に、『12人の医院経営ケースファイル』(共著、中外医学社)、『健康医学』(共著、フローラル出版)がある。

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※本記事は桂文裕著の書籍『舌こそ最強の臓器』(かんき出版)から一部抜粋・編集しました。

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