【本作を第1回から読む】致死率は約4.6倍、およそ4分の1が未使用...チャイルドシートの「正しい使い方」と「ポイント」
『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』 (おると/KADOKAWA)第9回【全11回】
マッサージの効果から湿布の貼り方、薬の飲み方まで、私たちの日常には多くの医学知識が必要とされています。しかし、それらを正しく実践できている人は意外と少ないかもしれません。X(旧Twitter)で医療情報を発信し、フォロワー数12万(2024年2月時点)を有する話題の整形外科専門医・おると先生による『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』は、勘違いしがちな日常の中の医学知識を、丁寧に解説してくれます。自分の習慣は問題がないのか、一度チェックしてみましょう。
※本記事はおると著の書籍『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
レントゲン(X線検査)をたくさん撮ったら被ばくでがんになる?
<Check>
・被ばくのデメリットより、メリットのほうがはるかに大きい
・X線検査で浴びる放射線量は、実はびっくりするほど少ない
X線は、1895年にドイツ人の物理学者、ヴィルヘルム・レントゲンによって放電管を用いて「陰極線」の研究をしているときにたまたま発見されました。彼は未知の電磁波に対し、数学で未知の数を意味するXからとって「X線」と呼びました。
1901年には第1回ノーベル物理学賞を受賞するほどで、敬意を評して発見者の名前をとって、レントゲン(線)と呼ばれる場合もあります。
X線の波長は1~10pm程度と短く、骨や金属などの密度の高い物質は透過せず、皮膚などの密度の薄い物質は透過する性質があり、この透過率の差を使って写真のように画像を映し出すことで、身体の内部を透視することができます。
X線は放射線なので、撮影するとごく少量の被ばくが起こります。実際に骨折の患者さんなどから「こんなにレントゲン撮って、がんとか大丈夫ですか?」などの質問が飛んでくることもしばしばあります。
しかし病気を診断・治療するためには、被ばくのデメリットよりも、X線撮影することにより貴重な情報が得られるメリットのほうがはるかに大きいと考えられています。
私たち整形外科医も、X線検査によって得られる情報がなかったら、診断が極めて困難になる局面もあるくらいなので、X線検査が必要と判断したら、迷いなく患者さんに撮影を求めます。
X線検査を行う診療放射線技師は、被ばく線量を減らすためにできるだけ工夫しながら撮影を行っています。また、医師も診断や治療に必要な最低限の検査しか入れることはありません。