キスで感染する口内炎がある!? 単純ヘルペスウイルスによる口内炎に要注意!/口内炎

口内炎とは、口内の粘膜にできる炎症の総称です。頬や唇の内側、舌、上あごなど口内のあらゆる粘膜に炎症を起こす可能性があり、食事をすることがつらくなったり、人と会話をすることがおっくうになったりするなど、痛みや不快感でQOL(生活の質)を低下させます。口内炎といっても原因はさまざま。それぞれ治療方法が違うので、原因に合った治療をすることが大切になります。

さまざまな口内炎の原因、症状、治療法、予防法などを、鶴見大学歯学部附属病院口腔機能診療科准教授の中川洋一先生にお聞きしました。

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単純ヘルペスウイルスによる口内炎とは?

口内炎とは、頬や唇の内側、舌、上あごなど口内のあらゆる粘膜にできる炎症の総称です。最も一般的なアフタ性口内炎のほか、外傷性口内炎、アレルギー性口内炎、真菌やウイルス、細菌などの微生物に感染することで発症する口内炎など、原因によってさまざまな口内炎があります。

ウイルス性口内炎のひとつに「口唇ヘルペス」があります。単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が原因で引き起こされ、口内や口の周りに水疱ができるありふれた病気です。

単純ヘルペスウイルスは、ほとんどの人が、感染症状の表れない「不顕性感染」の形で幼少期に感染していますが、症状が現れる場合はヘルペス性歯肉口内炎(初感染)という水疱という形で表れます。このウイルスはその後も死滅することなく宿主の神経節にずっと潜んでいます。過労やストレス、発熱、日光を浴びすぎるなどの刺激などをきっかけに、それまで潜んでいた単純ヘルペスウイルスが活性化(回帰感染)し、「口唇ヘルペス」となって現れるのです。

粘膜や皮膚のピリピリ、ムズムズした違和感、灼熱感などを感じる前ぶれの症状の後、4~7日で細かい水疱がたくさんでき、やがて破れたところがかさぶたになって治っていきます。

「単純ヘルペスウイルスの増殖を抑えるためには、発症後できるだけ早く治療を開始することが大切です。治療が遅れると、人に感染させてしまう可能性もそれだけ高くなります」(中川先生)

このように、皮膚表面の水疱やただれに痛みを伴うのが、単純ヘルペスウイルスの典型的な症状です。口の中にできる水疱は破れやすいので、見た目はアフタ性口内炎に似ています。粘膜にできた水疱やただれなどの患部にはウイルスが数多く存在し、感染力が非常に強いので注意が必要です。

「口唇ヘルペス患者とのキスや口をつけたグラスの共用、頬ずりで感染することもあります。また患者が使った食器やタオルがウイルスに汚染されている可能性があるので、患者の家族は気をつけなければなりません。」(中川先生)

感染しないためには、以下のようなことに気をつけましょう。

・症状がある患部に触らない
・タオルや口をつけるグラス、スプーンなどを家族やパートナーと共用しない
・キスや頬ずりを避ける
・オーラルセックスを控える

健康な皮膚の状態であれば、バリア機能が働いて感染が起こらないこともありますが、口腔内の場合は健康な状態であっても粘膜どうしが触れ合うことで簡単に感染してしまいます。また、アトピー体質の人は皮膚のバリア機能が低下しているので、口唇ヘルペスのウイルスに感染しやすく、さらに水疱も広範囲にわたって生じ、治りにくくなることがあります。

 

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取材・文/古谷玲子(デコ)

 

 

<教えてくれた人>

中川洋一(なかがわ・よういち)先生

鶴見大学歯学部附属病院口腔機能診療科准教授。1980年鶴見大学歯学部卒業。2002年同大学附属病院専門外来(現・口腔機能診療科)。日本口腔外科学会認定口腔外科専門医・指導医。著書に『チェアサイド・介護で役立つ口腔粘膜疾患アトラス』(クインテッセンス出版)などがある。

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