口内炎とは、口内の粘膜にできる炎症の総称ですが、ひとくちに口内炎といっても原因はさまざま。加齢によって唾液の分泌量や免疫力の低下により、増える種類の口内炎もあります。原因によっては、市販薬で悪化することもあるので、適切な治療が必要になります。中高年の口内炎について、鶴見大学歯学部附属病院口腔機能診療科准教授の中川洋一先生にお話しをお聞きしました。
口内炎の原因別種類とは?
口内炎と聞いて最初に思い浮かべるのはアフタ性口内炎で、原因ははっきりしませんが、最も多い口内炎です。ほかの口内炎としては原因別に、外傷性、アレルギー性、カンジダやウイルスなどの微生物性などがあります。
中高年世代に起きやすい口内炎のタイプ
加齢によって引き起こされる口内炎とは?
カンジダによる口内炎です。粘膜が白くなるものははがれやすく自覚症状がありませんが、赤くなるものは痛みを伴い舌の表面がツルツルしてきます。これらの症状は、唾液の分泌量低下や免疫力の低下により、抗菌作用や自浄作用が効かなくなり、常在菌のカンジダが増殖することで起こります。加齢によって唾液腺の働きが低下する他、高血圧やアレルギーなどの薬の副作用、義歯などの不具合でかむ回数が減る、強いストレスなどでも唾液の分泌は低下します。定年退職や親の介護など人生のステージが変わるタイミングと重なり、60代以上の世代に表れやすくなる症状といえます。
原因に合った治療が大切
外傷性やアレルギー性の場合は、まず原因物質を除去します。痛みや炎症を軽減する薬も市販されていますが、ステロイド入りのものは、カンジダやウイルスによる口内炎では症状が悪化する危険性があるので使わないようにします。これらには原因に直接働きかける抗真菌や抗ウイルスの処方薬が有効です。
取材・文/古谷玲子(デコ)
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中川洋一(なかがわ・よういち) 先生
鶴見大学歯学部附属病院口腔機能診療科准教授。1980年鶴見大学歯学部卒業。同大学附属病院専門外来(現口腔機能診療科)。日本口腔外科学会認定口腔外科専門医・指導医。『チェアサイド・介護で役立つ口腔粘膜疾患アトラス』(クインテッセンス出版)著。