72時間以内が勝負! 帯状疱疹ウイルスによる口内炎は早めの治療が重要/口内炎

口内炎とは、口内の粘膜にできる炎症の総称です。頬や唇の内側、舌、上あごなど口内のあらゆる粘膜に炎症を起こす可能性があり、食事をすることがつらくなったり、人と会話をすることがおっくうになったりするなど、痛みや不快感でQOL(生活の質)を低下させます。口内炎といっても原因はさまざま。それぞれ治療方法が違うので、原因に合った治療をすることが大切になります。

さまざまな口内炎の原因、症状、治療法、予防法などを、鶴見大学歯学部附属病院口腔機能診療科准教授の中川洋一先生にお聞きしました。

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帯状疱疹の症状、治療法、気をつけるべきポイントとは

口内炎とは、頬や唇の内側、舌、上あごなど口内のあらゆる粘膜にできる炎症の総称です。最も一般的なアフタ性口内炎のほか、外傷性口内炎、アレルギー性口内炎、真菌やウイルス、細菌などの微生物に感染することで発症する口内炎など、原因によってさまざまな口内炎があります。

ウイルス性口内炎のひとつに口唇ヘルペスがありますが、ほかにも帯状疱疹による口内炎があります。どちらもヘルペスウイルスに感染することによって起こりますが、ウイルスの種類が異なります。

口唇ヘルペスは感染して神経節に潜み続けた「単純ヘルペスウイルス」によって発症します。帯状疱疹は、幼少期にかかった水ぼうそうのウイルス「水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)」によって発症します。このウイルスも、水ぼうそうが治った後も死滅せずに知覚神経の神経節に潜み続けています。

「栄養不良、ストレスや疲労の蓄積、風邪、加齢などで免疫力が低下したときに、神経の根元に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウイルスが再び活性化して、帯状疱疹を発症させます」(中川先生)

がんや糖尿病など免疫力の働きが低下する病気の方、リウマチなど免疫抑制の薬を服用中の方なども発症の危険が高くなります。通常、50歳代以降に発症することが多く、高齢になるほど発症率が高くなる疾患です。20歳代、30歳代の若い人が帯状疱疹にかかる場合は、仕事で徹夜が続くなど過労のケースが多くなります。

帯状疱疹の症状は多くの場合、粘膜や皮膚に水疱が現れる数日~1週間前ほどから前ぶれの症状である前駆痛というピリピリ、ムズムズした痛みが出てきます。帯状疱疹は神経の通り道に沿って、体の片側の粘膜や皮膚に、帯状に水疱状の疱疹が現れるのが特徴です。

「水疱が出てから10日前後をピークとして急性痛が表れ、激痛で食事もできず入院することもあるほどです。その後かさぶたとなって疱疹がおさまり、発症から1か月くらいかけて治っていきます」(中川先生)

いったん感染すると死滅することなく神経の根元に潜んでいる点では、口唇ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスと同様ですが、発症するまでのメカニズムは大きく異なります。以下のような特徴があります。


■単純ヘルペスウイルス
・初感染で発症した場合のヘルペス性口内炎は症状が重いが、2回目以降の場合(口唇ヘルペスと呼ぶ)の症状は軽く、痛みもそれほど強くない
・感染力が強いので感染しやすい
・後遺症がほとんどない
・一度かかると何度も再発することが多い

■水痘・帯状疱疹ウイルス
・皮膚の症状が重く、痛みが強い
・水ぼうそうにかかっていない人は、感染すると水ぼうそうとして発症する可能性がある
・神経の通り道に沿って片側だけに症状が表れる
・帯状疱疹後神経痛や顔面神経麻痺など後遺症が残ることがある
・再発することもある

「ウイルスが増殖し始めたときから神経を破壊しているので、自然治癒を待っていると、帯状疱疹後神経痛として痛みが残ったり、顔面神経麻痺が残ったりするなど、後遺症が残る可能性もあります。水痘・帯状疱疹ウイルスが増殖のピークを迎える72時間以内にできるだけ治療を開始すれば、後遺症が出る可能性は低くなります」(中川先生)

 

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取材・文/古谷玲子(デコ)

 

<教えてくれた人>

中川洋一(なかがわ・よういち)先生

鶴見大学歯学部附属病院口腔機能診療科准教授。1980年鶴見大学歯学部卒業。2002年同大学附属病院専門外来(現・口腔機能診療科)。日本口腔外科学会認定口腔外科専門医・指導医。著書に『チェアサイド・介護で役立つ口腔粘膜疾患アトラス』(クインテッセンス出版)などがある。

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