洗いすぎがカンジダ膣炎の原因に? 気をつけたい3つのポイント/外陰部のトラブル

かゆみや痛み、腫れなど、外陰部(女性性器)のトラブルは、放置すると重大な病気につながることがあります。その反面、清潔を保ったり、日常生活を見直したりすることで、十分に予防できる病気や症状も少なくありません。まずは、外陰部についての正しい知識を身につけ、トラブルが起きているのかどうか判断できることが大切です。

自分の体を守るために知っておきたい外陰部の病気への対応や予防法を、セントソフィアクリニック婦人科院長の伊藤 知華子先生にお伺いしました。

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前の記事「カンジダ膣炎の検査と治療。早期の治療開始がポイントです/外陰部のトラブル(7)」はこちら。

 

外陰部の洗いすぎは厳禁!
生活リズムの改善で発症を予防

カンジダ膣炎は膣・外陰部の感染症ですが、性交による感染はたったの約5%。そのため、性交経験がなくても、女性ならば誰でも発症する可能性があります。原因は生理前後のホルモンバランスの変化、抗生物質の服用、妊娠時、糖尿病などさまざまですが、生活習慣の中で無意識に行っている行動が、カンジダ菌の増殖を引き起こしていることもあります。

「カンジダ膣炎を発症する人の中には、自己判断でおりものが他人よりも多いと思っている人がいます。そのため、膣内を過剰に清潔にしようとする傾向が。ですが、膣内を洗浄しすぎると、膣内の環境を保つ働きをするはずのよい常在菌まで洗い流してしまいます。その結果、病気を繰り返すことになりやすいもの。特に、カンジダ膣炎を発症した後は膣内を洗浄するのではなく、外陰部にシャワーを当てる程度にしてください。ビデ(膣内洗浄)も避けた方がよいでしょう」(伊藤先生)

体用の石けんやボディソープを使って膣の中まで洗っているという人は、カンジダ菌が増殖しやすい環境を作ってしまっています。外陰部を洗うときは、洗いすぎず、できれば顔用の石けんや専用の洗浄剤を使うのがおすすめです。ここでは、外陰部を洗うときの石けんの選び方を3つ、ご紹介しましょう。

 

【石けんの選び方】

●弱酸性のものを
体用の石けんやボディソープは、通常アルカリ性のものが多く、洗浄力が強いので、デリケートな外陰部の洗浄には適していません。使い続けることで、皮膚に炎症やかゆみなどを起こしやすくなります。

●肌に優しい天然成分のものを
ハーブや生薬など、天然成分配合の石けんを選びましょう。合成界面活性剤や防腐剤などの人工添加物が含まれていないことも重要です。

●敏感肌なら医薬部外品を
乾燥肌やアトピー性皮膚炎の人は、医薬部外品の薬用専用ソープが安心です。柔らかい素材で泡立ちのよいものがいいでしょう。

 
「カンジダ膣炎は何度でも繰り返す病気です。それだけに、再発したときには体が疲れていると自覚して、たっぷりと休息をとるように心がけてください。カンジダ菌は免疫力が落ちると繁殖しやすくなるので、十分な睡眠と栄養バランスのとれた食事、ストレスや疲労をためない工夫が必要です」(伊藤先生)

先にお話ししたように、「下着は通気性のよい綿100%のものにする」「下半身を締め付けない、ゆったりとした服を着用する」「ナプキンやタンポンはまめに交換する」
「排便または排尿のときは、前から後ろに拭き取る」といった日常生活の中でできる工夫を心がけて、カンジダ膣炎の発症・再発防止に努めましょう。

関連記事:「カンジダ膣炎は何度でも繰り返す? 発症と再発の原因って?/外陰部のトラブル(6)

次の記事「自覚症状に乏しい性感染症。放置すると不妊の原因にも/外陰部のトラブル(9)」はこちら。

 

取材・文/寳田真由美

 

伊藤 知華子(いとう・ちかこ)先生

セントソフィアクリニック婦人科院長、医学博士。名古屋第二赤十字病院産婦人科、成田病院勤務を経て、1997年米国サウスカロライナ医科大学生殖遺伝学教室留学、1999年成田病院帰任、2008年より現職。専門は婦人科。生殖医療専門医。

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