かゆみや痛み、腫れなど、外陰部(女性性器)のトラブルは、放置すると重大な病気につながることがあります。その反面、清潔を保ったり、日常生活を見直したりすることで、十分に予防できる病気や症状も少なくありません。まずは、外陰部についての正しい知識を身につけ、トラブルが起きているのかどうか判断できることが大切です。
自分の体を守るために知っておきたい外陰部の病気への対応や予防法を、セントソフィアクリニック婦人科院長の伊藤 知華子先生にお伺いしました。
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休息、栄養のほか、通気性のよい下着選びも。
日常生活を見直して再発を予防
ちょっとした体の変調でカンジダ菌が異常に増殖し発症するカンジダ膣炎は、治癒しても再発しやすいのが特徴です。実は、発症と再発の原因の大半は、日常生活によるところが大きいのです。
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「カンジダ膣炎は、風邪や疲労、ストレスなどによって免疫機能が低下することで起こりやすくなります。他には、糖尿病や妊娠、生理前などのホルモン変化、抗生物質の服用などが主な原因です。これらを防ぐには、免疫機能が低下しないよう、まずは生活リズムを整えることが大切です。ストレスを感じたり、疲れたなと思ったら、しっかりと睡眠をとる、栄養を補うなど、自分の体のサインを見逃さないようにしてください」(伊藤先生)
カンジダ膣炎は繰り返しやすい病気だけに、日々の意識の持ち方で予防に努めることができます。
●カンジダ膣炎発症・再発のために気をつけたいこと
・下着は通気性のよい綿100%のものにする
・下半身を締め付けない、ゆったりとした服を着用する
・膣の中を洗いすぎない
・外陰部を洗うときは、ボディソープなど刺激が強い洗浄剤は使わない
・おりものシートは使わない
・ナプキンやタンポンはまめに交換する
・湿った下着や衣類は、すぐに着替える
・排便または排尿のときは、前から後ろに拭き取る
カンジダ膣炎は多くの女性に起こりやすいポピュラーな病気で、長時間たつと治ることもありますが、自力ではなかなか治りません。外陰部にかゆみがある、おりものの量が増えた、おりもののにおいや状態がいつもと違うなどの症状があったら、早めに婦人科を受診しましょう。
「カンジダ膣炎で来院される場合、外陰部のかゆみとおりものの変化が気になってという人が大半です。ですが、人によってそのタイミングはさまざまで、1週間ぐらい前からという人もいれば、1年も前から気になっていたという人も。繰り返しやすい病気だけに正しいケアや知識が不可欠です。一度、婦人科で相談してみるのがおすすめです」(伊藤先生)
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取材・文/寳田真由美