下半身の加齢臭。なにが原因?どうすればいい!?/松峯寿美先生の婦人科相談室

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誰にも言えないまま、悩んでいることを産婦人科医の松峯先生に相談します。
前回は、外陰部が萎縮してカサカサと乾燥する"萎縮性外陰炎"の対処法について、お答えいただきました。
今回はにおいに関するご相談です。ケアの仕方を教えてもらいました。

 

Q 下半身にも加齢臭、ありますか? 神奈川県 A・Mさん(70歳)

皮膚や粘膜の乾燥がにおいの背景にあります

そもそも、加齢とにおいには直接の関係はありません。下半身のにおいのもとはおりもの、おしっこ、うんちの3つ。それぞれ、体の中と外の両方に原因がありますが、腟内や腸内の環境を整えたり、腟口、尿道口、肛門、その周辺の皮膚を清潔にして保湿ケアをすれば、気になるほどのにおいはしないはずです。

中でも、腟周辺のにおいを気にする人が多いのですが、実際には本人が気にしすぎているだけの場合が多いもの。これは女性ホルモンの欠如によって腟や外陰部が萎縮し、乾燥するのが間接的な原因となっています。閉経以降はおりものが減るため、善玉菌と悪玉菌の常在菌をバランスよく保つ"腟内フローラ(正常な細菌叢)"が乱れやすく、細菌性腟炎を招くことがあるのです。イヤなにおいがするようなら大腸菌などが増殖しているサインかもしれません。女性ホルモンか抗生物質の腟座薬を使用することによって解消できますから、早めに婦人科を受診しましょう。

 

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おしっこのにおいも皮膚の問題です

ほかにも外陰部の気になるにおいに"おしっこ"があります。これも女性ホルモンの低下とともに皮膚のコラーゲンが減少し、外陰部のシワが深くなるのが原因の一つ。おしっこがシワの間に入り込んでは乾くことを繰り返し、においやすくなってしまうのです。また、皮脂の分泌が低下して皮脂膜がなくなり、外陰部についた尿をはじくことができなくなるのも、においがつく一因です。 外陰部のヒダの間についた汚れは落ちにくいので、可能であれば温水洗浄便座のソフトな水流で洗い流し、水気をやさしく拭き取るようにしてください。

また、温水洗浄便座で洗うだけではなく、毎日お風呂で温まるのも日課にしてほしいと思います。特に、頭皮や脇の下など、上半身のにおいが気になる人は、全身浴で血行をよくすることが大切です。その際、皮膚をさらに乾燥させないためにも、熱めのお風呂ではなく40〜41℃くらいの湯につかるようにしましょう。

そして体を洗うときはタオルでこすらず、特に外陰部や肛門は手の指でやさしく洗いましょう。皮脂膜を取りすぎないためにも、低刺激で無添加のせっけんがお薦めです。

湯上がりにはお顔のスキンケアだけではなく、デリケートゾーンの皮膚にもオリーブオイル1滴を手のひらにのばしてつけてください。乾燥を防いで保湿をするだけでも、気になるにおいの予防に役立ちます。皮脂の分泌がなくなってしまった部分に少量のオイルをつけると皮脂膜のようにはじく作用が生まれ、おしっこの汚れがつきにくくなります。

また、膀胱の収縮力が弱まって排尿時の勢いがなくなると、おしっこが皮膚などに飛び散りやすく、においのもとになります。勢いよく排尿するためにも、ある程度からトイレに行くようにしましょう。

 

便のにおい解消は体の中から

よく「年を取ると便のにおいが強くなる」といわれますが、それは年齢のせいではなく、腟内フローラと同様に、腸内の常在菌のバランスを保つ"腸内フローラ"が乱れている場合が多いものです。まずは日ごろの食生活を振り返ってみてください。

腸内の環境を整えるには大豆食品に含まれるイソフラボンや、みそ、ぬか漬け、納豆、キムチなどの発酵食品がお薦めです。ヨーグルトなどの乳製品も効果的ですが、牛乳を飲むと軟便になる人もいるので、自分に合う食品を選ぶのがポイントです。

たとえ年齢を重ねて肛門の筋肉が緩んだとしても、下痢をしなければ便が漏れる心配はありませんし、腸内フローラが良好でキレのよい便が出ていれば、悪臭がすることはないと思います。便がにおうときは、下痢気味のときが多いものです。肛門周囲の皮膚はシワシワなので、下痢が続くと、便がシワの間に入り込み、トイレットペーパーで拭くだけでは汚れが取れず、においが気になることが多いのです。温水洗浄便座のソフトな水流で清潔に保ちましょう。

また、年齢を重ねると消化機能が低下しやすい傾向にあるので、腸の粘膜を刺激する香辛料や脂肪たっぷりの食事はほどほどにするほうがいいですね。特に内臓脂肪が多い人は、腸のぜん動運動が妨げられて便が緩くなりやすいので要注意です。おしゃれは見た目のファッションだけではありません。デリケートゾーンを清潔に保ち、1滴のオイルで皮脂膜を整えるケアを日課にして、何歳になっても水をはじくような若々しいあなたでいてくださいね!

 

加齢とにおいには直接の関係はありません。腟内と腸内の環境を整え、皮膚の清潔&保湿ケアをすれば大丈夫!

【腸内フローラを整える食品】
・発酵食品には植物性乳酸菌が豊富
 ・・・代表格は味噌、ぬか漬け、キムチなど納豆菌を含む納豆を一緒にとると、さらに乳酸菌の増殖効果がある
・イソフラボンを含む豆腐などの大豆食品
・動物性乳酸菌を含むヨーグルト など

【便秘解消と内臓脂肪の軽減におすすめの運動】
・ウォーキング
・ヨガ
・しこを踏む
・ストレッチ
・腹筋運動
・いすに座ったままで両足のひざを上げたり、左右に開脚する など

【下半身のにおいケアのポイント】
・排尿後、排便後には、温水洗浄便座のソフトな水流で洗う
・毎晩入浴する
・湯上がりにオリーブオイル1滴か少量のワセリンを手のひらでのばして、外陰部や肛門の皮膚を保湿

  

松峯寿美(まつみね・ひさみ)先生
<教えてくれた人>
松峯寿美(まつみね・ひさみ)先生
東京生まれ。東京女子医科大学、同大学院卒業。医学博士。日本産婦人科学会専門医。東京女子医科大学非常勤講師。1980年に東峯婦人クリニックを開業して以来、妊娠・出産、更年期、老年期まで、女性の健康をトータルに支える医療をモットーとしている。加齢や出産よる骨盤底筋群の緩み、尿漏れに悩む女性たちの相談に乗る一方、更年期以降の女性の腟の緩みを改善する腟形成手術、子宮脱の経腟手術なども行っている。主な著書に『女性の医学BOOK』『顔よりからだ』など。
この記事は『毎日が発見』2016年2月号に掲載の記事です。

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