美しい姿勢と転ばない身体は、すべて「筋肉」が作り出す!/体ほぐし体操

pixta_23587630_S.jpg正しい姿勢を保つためには、質の良い筋肉が必要です。それには、体をほぐして正しい姿勢を知ることが重要。そこで、美しい姿勢や動きやすい体に欠かせない筋肉の仕組みを、早稲田大学スポーツ科学学術院教授で早稲田大学アクティヴ・エイジング研究所所長の樋口満先生にお話を伺いました。

前の記事「体、正しく動かせてる? 鏡の前で3つの簡単セルフチェック!/体ほぐし体操(1)」はこちら。

 
筋力と全身持久力が若さを維持する秘訣です!

運動習慣の有無にかかわらず、「体力が落ちて疲れやすくなった」と感じている方は多いことでしょう。では、体力とは何でしょうか?「体力には、全身持久力や筋力、柔軟性、バランス能力など体を動かすための行動体力と、免疫力など身体を機能させるための防衛体力とがあります。この二つは、体を動かすためにどちらも不可欠なもの。知力や気力などとともに、健康で生き生きと暮らすために欠かせません」と、樋口満先生。

中でも注目すべきは、筋力と全身持久力です。筋力は筋肉自体が発揮する力で、体を動かすことで筋量を保つほか、代謝機能にも影響します。全身持久力は運動を長く続けるための力。これらを高めることで、生活習慣病を発症するリスクが低くなり、予防効果も期待できます。

「筋肉は体の約40%を占めています。そのうちの50%は上半身に、40%が下半身に、残りの10%が腕にあります。筋肉は衰えやすい性質があり、何もしないと1年で1%ずつ減少していきます。特に、50歳を過ぎると筋量は急激に減少します。中でも下半身は、上半身に比べて筋量が減少しやすく、衰えやすいもの。そのため、加齢に伴い、徐々に転倒のリスクが高まったり、寝たきりの原因となることも少なくありません。筋量の減少を少しでも遅らせるためには、普段から運動習慣をつけておく必要があります」(樋口先生)

下半身の筋肉に加えて、体力を支えるのに大切な役割を担っているのが、体幹と呼ばれる筋肉です。体幹はその呼び名どおり、体の幹(軸)となる部分。首から上の頭と両腕、両脚を除いた部分です。中でも重要なのが、腰まわりにある大だい腰よう筋きんです。「背骨と大腿骨をつなぐ大腰筋は、脚を引き上げて前へ押し出す、階段を上るなどの動作で働き、姿勢をしっかりと保持するために欠かせません。この筋量が減ると歩幅に大きく影響し、歩くときにすり足になり転びやすくなります」(樋口先生)

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僧帽筋(そうぼうきん)
首から背中を覆う大きな筋肉で、腕を上げたり引いたりして肩甲骨を背骨の方向へ寄せるときや、腕を背中の方向へ引くときなどに活躍します。


脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
体の軸となる背骨を支える筋肉。長さの異なるたくさんの筋肉をまとめた総称で、背中を支えながら動かします。


腹横筋(ふくおうきん)
お腹をキュッとへこませてコルセットのように作用。何層にも重なるお腹の筋肉の中でも最も奥深くにあり、呼吸や姿勢の安定にも関わります。


大殿筋(だいでんきん)
お尻の大きな筋肉で脚を大きく動かす原動力。立ち上がるときに股関節を伸ばしたり、歩くときに脚を大きく動かす際などに働きます。


腰筋(ちょうようきん)[大腰筋、腸骨筋]
足腰を曲げるときに作用する大腰筋と、骨盤の奥で股関節の動きをサポートする腸骨筋が合わさった筋肉です。


ハムストリング
太もも裏側にある筋肉で、大腿四頭筋とともにひざ関節の屈伸に役立ちます。股関節を伸ばすときにもこの筋肉が作用します。


大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
太もも前側にある筋肉の総称。ひざを伸ばしたり、ひざ関節の安定性に活躍します。


下腿三頭筋(かたいさんとうきん)[腓腹筋、ヒラメ筋]
つま先立ちやジャンプをするときに主に働く腓腹筋(ふくきん)と、直立姿勢を維持したり、長時間立ったりするときに働くヒラメ筋の二つを合わせた筋肉です。

 

筋肉を維持するために難しいトレーニングは必要ありません。心がけることはたったの二つ。一つ目は、1日10分でもいいので、これまでよりも体を動かす時間を長くすること。二つ目は、正しい動きで行うことです。「筋肉は何歳からでも必ず高められます」と、樋口先生。

第4回では、樋口先生おすすめの自宅でできる体操を紹介します。

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次の記事「筋肉の量をキープすれば高血糖予防にも! 筋肉が糖を取り込む仕組みを知ろう/体ほぐし体操(3)」はこちら。

取材・文/笑(寳田真由美)

 


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樋口満(ひぐち・みつる)先生

早稲田大学スポーツ科学学術院教授。教育学博士(東京大学)。早稲田大学アクティヴ・エイジング研究所所長。著書に『体力の正体は筋肉』(集英社新書)が発売中。

この記事は『毎日が発見』2018年9月号に掲載の情報です。

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