『身体を壊す健康法』 (柳澤綾子/Gakken)第1回【全6回】
東大の研究員であり現役医師である柳澤綾子さんは、年間500本以上の論文を読む論文オタクでもあります。『身体を壊す健康法』は、そんな柳澤さんが、これまで当たり前とされてきた健康の常識を最新の研究結果をもとに一から見直し、正しい知識を優しく解説します。本書で健康の知識をアップデートしましょう。
※本記事は柳澤綾子著の書籍『身体を壊す健康法 年間500本以上読破の論文オタクの東大医学博士&現役医師が、世界中から有益な情報を見つけて解き明かす。』(Gakken)から一部抜粋・編集しました。
よくある表示「レタス○個分の食物繊維」。レタスには食物繊維は、そんなに入っていません
レタスの実際の食物繊維の量ってどうなの?
スーパーやコンビニ、CMなどで、とてもよく目にし耳にする「食物繊維がレタス○個分」の表示。「そもそも、何でレタス換算なの?」と思ったことはありませんか。
「東京ドーム何個分」や「富士山何個分」の表記もよく目にするけれども、この場合は何となく大きさの想像がつくもので、割とみんなが知っているものと比較してくれているのだな、とわかります。でも正直、レタスに食物繊維がどのくらい入っているのか......。すぐにわかる人、ほとんどいないんじゃないですか??
レタスはサラダにいっぱい入っているから、きっと食物繊維も多いのだろうと思う程度で、野菜の中でレタスは食物繊維が多いほうなのかは全く想像つきません、って方が大半かと。
実はレタス、野菜の中でも食物繊維は決して多いほうではありません。もっと多い野菜はたくさんあります。
ではなぜ「レタス○個分」の表記が定着しているのでしょうか。ここには面白いカラクリが隠れています。理由や脳の仕組みについて、一緒に考えていきましょう。
レタス100gあたりの食物繊維含有量は、約1.1g程度であると言われています。同じ量のサツマイモと比較した場合、サツマイモ100gに含まれる食物繊維の量は2.2g。つまりレタスの食物繊維含有量は、サツマイモの半分です。ということは、レタス、多くないですよね。
もっとわかりやすい例では、ゴボウ100gに含まれる食物繊維の量は何と5.1g。つまりこれはゴボウのほうが、レタスよりも約5倍も食物繊維が多いということになります。やはりレタスは、どうやら野菜の中でも食物繊維が多く含まれる部類ではなさそうです。
日本人の食品摂取基準を参考に見てみると、成人男性の基準ではレタス(1玉500gとした場合)4玉は食べないと、1日に必要な食物繊維の摂取目標量(20g以上)に達しないことになってしまいます。現実的な数値ではないな、と思います。