『中高年が朝までぐっすり眠れる方法』 (加藤俊徳/アチーブメント出版)第2回【全5回】
朝までぐっすり眠れないのは年齢のせい...。そう決めつけていませんか? あなたが眠れない本当の原因は、意外なところにあるかもしれません。脳内科医で「脳の学校」代表の加藤俊徳氏は、原因と対策がハッキリすれば睡眠が変わり、そこから身体全体が変わると言います。そんな加藤氏の著書『中高年が朝までぐっすり眠れる方法』から、目からウロコが落ちそうな驚きのエピソードを紹介します。
※本記事は加藤俊徳著の書籍『中高年が朝までぐっすり眠れる方法』(アチーブメント出版)から一部抜粋・編集しました。
中高年になるとぐっすり眠れない理由
中高年になるとなぜ眠れなくなるのでしょうか。ノンレム睡眠の減少や睡眠ホルモンといわれるメラトニンの減少、女性なら閉経による影響といったホルモンの分泌機能の低下、加齢による影響などがあげられますが、原因はひと言でいってしまうと、これまで重ねてきた生活習慣によるものです。
私は一時期、体重が85キロほどありましたが、閉塞性睡眠時無呼吸症や高血圧、糖尿病などのリスクを高めることから、朝の散歩を習慣にするなどして、65キロまで減量しました。
もし高血圧になれば降圧剤の服用が必要になり、糖尿病になればのどが渇いて水分を多くとるため頻尿が現れます。何種類もの薬を服用する多剤併用は、睡眠の質を下げることもわかっています。アルコールや夕方以降のカフェイン、寝る前のブルーライトも、臨床的に体内リズムを乱すことがわかっています。
若い頃であれば、眠れなくなるファクターが少しくらい重なっても、すぐにリカバリーすることができました。しかし、中高年になるとそうはいきません。眠れない原因は中高年にはひとつではなく、さまざまな要因や疾患が合併して複雑に絡み合っています。ところが、睡眠障害を総合的に一人で診断・治療してくれる医師はどこにもいません。睡眠外来にしても同様です。
私は、これらの医療上の問題を可能なかぎり解決するため、MRIによる脳画像を撮り、その人の夜間の呼吸を妨げる鼻腔・口腔の構造や脳の個性に応じた「脳画像診断法」を行い、眠れないと訴える患者さんを放射線学的・内科的・脳内科的・心療内科的など多角的な観点から、総合的に診断・治療しています。