中高年になるとぐっすり眠れないのはなぜ? 危ない睡眠と良い睡眠の違いを、脳内科医が解説

良い眠りの人のポリグラフとは?

実際に計測した睡眠ポリグラフの結果から、良い眠りを見てみましょう。

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上にあるグラフは、45歳の女性の例です。上段は血液中の酸素飽和度で、無呼吸が起きると数値が下がります。下段は睡眠の深さを示します。横軸は検査開始時(0時40分)から、朝8時40分に覚醒するまでの時間を表しています。

総記録時間は8時間、中途覚醒時間の31分間を除いた睡眠時間は7.3時間、睡眠効率91.1%となっています。血中酸素飽和度は平均96.5%、最低値は91%でした。

このグラフでは入眠潜時は12分、その後N2からN3へと移行します。徐波睡眠は全体の24.9%を示し、朝7時すぎても熟睡できることがわかります。

ちなみに、睡眠時の無呼吸指数は1時間あたり1.6回。正常範囲が5回以内なので病的な無呼吸はなく、しっかりと質の良い睡眠がとれている状態ということができます。

このように終夜にわたる睡眠ポリグラフ検査によって、血液中の酸素飽和度が低下するほどの無呼吸がどのぐらいの頻度で、いつ起こっているかがしっかり計測できます。毎日、まったく同じ良い睡眠が得られているとはかぎらないため、本人への睡眠に関する問診で睡眠障害の訴えが強い場合は、2回以上の検査が有効です。

 

加藤俊徳(かとう・としのり)
神奈川歯科大学大学院統合医療学講座特任教授
総合内科専門医・医学博士

新潟県生まれ。脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。 株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。脳番地トレーニングの提唱者。小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。14歳のときに「脳を鍛える方法」を知るために医学部への進学を決意。1991年、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測「fNIRS(エフニルス)」法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。帰国後、帰国後、慶應義塾大学、東京大学などで脳研究に従事し、「脳の学校」を創業。

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※本記事は加藤俊徳著の書籍『中高年が朝までぐっすり眠れる方法』(アチーブメント出版)から一部抜粋・編集しました。

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