あなたは「糖質制限」ダイエットをしたことがありますか?そのダイエットは成功しましたか? 実は巷にあふれる「糖質制限」ダイエットの方法は結構ハンパなものが多いのです。
数々のダイエット方法を実践した医師自身による「1日5g以下の徹底した糖質制限=糖質制限2.0」は正確な理論に基づいたシステマチックなダイエット方法をご紹介します。
※この記事は『ハードワークでも疲れないカラダを作る 糖質制限2.0』(西脇 俊二/KADOKAWA)からの抜粋です。
前の記事「「糖質制限が広まると困る」人たちがいることを知っておこう/糖質制限2.0」はこちら。
「のめり込む人」は失敗する!
間違った糖質制限によって身体を壊す危険性は、たしかにあります。もっともよくあるケースが、「のめり込み」です。
糖質制限は即効性が高いため、1カ月で5㎏くらいは簡単に痩せます。すると体重が減っていくことが嬉しくて、食事量全体を減らしたり、タンパク質や脂質も摂らなくなってしまう危険があるのです。集中力の高いハードワーカーの方々は時折、こうした「ランナーズハイ」状態に陥ります。
2016年に放送されたあるテレビ番組では、糖質制限をして、主食ヌキに加え1日500キロカロリーで暮らした末に、通勤中に倒れてしまったという男性の実例が取り上げられていました。
番組によると、この方はその後、「糖質制限のやりすぎを反省して、ごはんも食べることにした」のだそう。しかしこの結論は少し注意が必要です。
倒れた原因は糖質カットではなく、明らかに栄養不足だからです。改めるなら、糖質制限ではなく、1日500キロカロリーという無謀なカロリーカットのほうでしょう。
糖質制限は、カロリーを減らすダイエット法とは違います。むしろタンパク質をしっかり摂り、エネルギー源をしっかり確保することを推奨しています。さらに糖質制限2.0は、「筋肉をつける」必要性から、タンパク質の摂取に重きを置いています。
細くなること以上に、強い身体を作るダイエット法なのです。何でも「減らす」これまでのダイエットとは一線を画した方法といえますが、ここをはき違えると、失敗してしまいます。
また、これは余談ですが、これまでの糖質制限に「はまった」人々が、飲食店でしばしばマナー違反を行っていることも、私は残念に思っています。寿司店に行ってシャリを残す、ラーメン店で麺だけ残す......。これはお店にたいして失礼きわまりない行動です。糖質制限2.0では、マナー違反を犯さなくても断糖を維持できる外食の知恵も、併せてお伝えしたいと思っています。
ハードワーカーの味方──密度の濃い人生を!
繰り返しになりますが、この本でお伝えする糖質制限は「痩せるだけ」ではなく、疲れない身体を作るノウハウです。すでにお察しの通り、そこには「食事」以外にも様々な要素があります。読み進めるうちに、これが食生活のみならず、日常生活全体の改造であることに気づかれるはずです。
「痩せるだけ」を望んでいる方なら、項目によっては「ここまでするのは面倒だ」と思われるかもしれません。でも、面倒だと思われた方にも1つ、念頭に置いていただきたいことがあります。ビジネスパーソンの方なら必ずご存じの、「緊急度・優先度マトリックス」がありますね。
1.「緊急で重要なこと」
2.「緊急ではないが重要なこと」
3.「緊急だが重要ではないこと」
4.「緊急でも重要でもないこと」
この四象限の中で、もっとも重要なのは2だといわれています。ここをいかに丁寧に行うかが、仕事でいえば充実したキャリアを構築できるかどうかの分かれ目になるのです。実は、この本がお勧めする「生活習慣」は、2に属することです。
すぐ取り組まなくても、今やっていなくても、死にはしません。しかし今日から数えてあなたの寿命はあと何年、何カ月、何日あるでしょうか?
明日も明後日も「生活習慣の改善には取り組まない」人と、今日から「毎日少しずつ、改善に取り組む」人とでは、10年後にはどんな差がついているでしょう?
その差がつくには、10年もかからないでしょう。1年後には、体型も、精神面でも、後者がキリリとしている確率はかなり高いといえます。
生活習慣の改善をじっくり続ければ、人生の充実度が違ってきます。
健康な体と心で、高パフォーマンス・高密度な仕事ができます。
処理能力が高まる分、余暇も増えて、私生活も満喫できます。
ストレスとプレッシャーに潰されそうな、疲れた40代を送るか。軽やかに動く身体で自由を謳歌する40代を送るか。皆さんは今、その岐路に立っています。