あなたは「糖質制限」ダイエットをしたことがありますか?そのダイエットは成功しましたか? 実は巷にあふれる「糖質制限」ダイエットの方法は結構ハンパなものが多いのです。
数々のダイエット方法を実践した医師自身による「1日5g以下の徹底した糖質制限=糖質制限2.0」は正確な理論に基づいたシステマチックなダイエット方法をご紹介します。
※この記事は『ハードワークでも疲れないカラダを作る 糖質制限2.0』(西脇 俊二/KADOKAWA)からの抜粋です。
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糖質制限への「言いがかり」はデタラメだらけ
さて、糖質は人体にとってどうやら必須ではないようだ、と人類が気付いたからこそ、糖質制限というダイエット術が登場したわけですが──そこには、多くの抵抗勢力もあります。
たしかに農業関係者や、パンやお菓子のメーカーはたまったものではないでしょう。これまでの理論を否定された医学や栄養学の関係者にとっても、糖質制限は「倒すべき敵」です。そうした反対論者の声を吸い上げて、声高に警鐘を鳴らすメディアもいます。名前はいいませんが、「糖質制限食を食べさせたマウスが、通常食のマウスより早く死んだ」「老化が早く毛並みもボロボロに」という某大学の実験結果をもとに、糖質制限の危険性を書き立てた某誌がありました。
その実験結果自体は、確かにその通りだったのでしょう。しかし、アプローチが間違っています。マウスは本来薬物実験に使う動物であり、食事研究には適しません。マウスと人間は、消化管の構造が大きく違うからです。マウスの食べ物は穀類や種子であり、もともと肉や魚は食べません。そんな動物に糖質制限食を与えれば、タンパク質を消化できず、代謝異常を起こすのは当然です。その結果を人間に当てはめるのは、大いなる見当違いです。医学界は意外にウッカリしたところがあって、間違った研究アプローチによって「変な常識」を流布させてしまうことがままあります。
たとえば「卵はコレステロールが多いから、1日1個以上食べてはダメ」という説を聞いたことがあるでしょう。あれも大ウソで、本当は卵を1日いくつ食べても問題などありません。
この珍説の元になったのは、1913年にロシアで行われた実験。ウサギにコレステロールの多い餌を食べさせたら動脈硬化を起こした、という研究結果でした。これまた先ほどのマウスと同じく、草食のウサギにコレステロールが合わなかったからです。事実、直後に犬で同じ実験をしたら異変ナシという結果が出ました。肉食の動物ならば問題ナシ、雑食の人間にも危険はない、とわかったわけですが、なぜかその結果は知られることなく、100年も過ぎてしまいました。
この「なぜか」には色々な理由が入るでしょう。その時々の権力者や、利害関係者の思惑などなど、いわゆる大人の事情もあるでしょう。糖質制限の場合はどうでしょうか。反対論者のバックを調べてみると、そこには「糖質制限が広まると困る人たち」がいるかもしれません。
いたずらに敵対感情をあおる意図はありませんが、私は「自分で調べ、自分で試したこと」を信じる医師です。きちんと試しもせずに、いい加減な実験結果や知識で糖質制限を断じる医師の方には、一度「糖質制限2.0」を試していただきたいと思います。
ちなみに私には、そうした利害関係はありません。どこともつながらない、まったくの個人として「糖質制限は安全である」といい切れます。みなさんにも、いろいろ試したうえでご判断されることをおすすめします。
もっとも、誤った知識や情報をもとに糖質制限に取り組めば、本当に巷でいわれるような「(間違った)糖質制限による良くない作用」が出ますので、本書では注意点もしっかりと書いていきます。
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