少し重い物を運ぶと疲れる。実は、荷物の持ち方・運び方にはコツがある/疲れないカラダ大図鑑

自粛生活により運動不足、また身体動作の制約を受けて体に不調を訴える人も少なくありません。そもそも人間の体は基本的な立ち方、座り方、歩き方があると言います。そこで動作解析の専門家・夏嶋隆さんの著書『疲れないカラダ大図鑑』(アスコム)から体の基本的な姿勢、疲れないカラダのノウハウをご紹介します。

【前回】かかとから着地をしない! 疲れない歩き方の新常識、5つのポイント!/疲れないカラダ大図鑑

【最初から読む】疲れない立ち方を身につけて体のストレスを減らせば日常から得をする/疲れないカラダ大図鑑

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重い荷物を持ちながらスイスイ歩く方法

重い荷物を歩いて運ぶとき、手や腕の筋肉がパンパンに張って、何度も左右の手を持ち替えたり、休憩して回復を待ったりしたことは誰でもあるでしょう。

なぜすぐに疲れてしまうのかというと、理由は単純で、荷物を体の前か脇で持っているからです。

体の前で荷物を持つと、手と腕の力だけで荷物の重さを支えなければならず、筋肉は緊張して悲鳴を上げている状態になります。

同時に、荷物の重さによって前傾姿勢になるため、歩行時の体の軸も崩れ、肩や腰、足へも大きな負荷がかかります。

これが、重い荷物を運ぶとき、すぐに疲れてしまう理由です。

そうならないための方法は簡単です。

荷物を持った手を、体の前ではなく、体の後ろ側(お尻のあたり)に持ってきてください。

その際、腕は胴体に密着させるようにして、手首は曲げないで伸ばしたままにします。

筋力ではなく、自分自身の胴体を使って、荷物の重さを支えるイメージです。

荷物が2つ以上あり、両手がふさがっている場合は、両方の腕を同じように胴体に密着させます。

この運び方をすると、腕の筋肉が疲れず、また歩行時の体の軸も一直線にキープできるため、体に負担がかかりません。

荷物を持っているときも、「上から見たときの面積を小さくする」ことを心がければ、重力のダメージを軽減できるのです。

【Point】

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重い荷物は、体の前や脇で抱えると体に負担をかけることに。体のやや後ろ側で、体に密着させて持つと、疲れがたまりにくくなる。

重い段ボール箱を簡単に持ち上げる方法

最近は、ネットショッピングを利用する人が増え、また宅配業者による「置き配」も一般的になりました。

そのため、重い段ボール箱を自分で持ち上げる機会が増えているのではないでしょうか。

段ボール箱を持ち上げる際も、袋を持ち上げるときと考え方は一緒です。

段ボール箱が体の斜め前に来るように立ち、ファイティングポーズとなって、背筋を伸ばしたまま膝を折り畳んで、段ボール箱に近づきます。

このとき、段ボール箱の側面を持つと、手の筋肉に負担がかかってしまいます。

そこで、床に接地した段ボール箱の長辺の手前側を少しだけ上げて、段ボール箱の左下と右上を持つようにします(逆でも可)。

このように、立体の対角線を両手で持つと、もっとも効率的に重いものを持ち上げることができるのです。

そこから、体の軸がブレないように、段ボール箱を抱き抱えるようにして垂直に立ち上がれば、筋肉に負担をかけなくても持ち上げることができます。

ポイントは、手だけで持ち上げるのではなく、上半身全体を段ボール箱に密着させて抱え込むように持つことです。

体の複数のポイントを段ボール箱に接触させたほうが、筋肉への負担が分散されます。

【Point】

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段ボール箱などの重い箱や荷物を持つ際は、立体の対角線上を両手で持つことが大切。箱や荷物はできるだけ上半身に密着させるようにしよう。

重い段ボール箱を持ちながら歩く方法

歩いて段ボール箱を運ぶときは、正面で持たないようにします。

正面で持って歩くと、前傾姿勢になるのを回避しようと背中や腰に負担がかかり、また、骨盤や股関節の動きが制限されるため、歩き方までおかしくなってしまうからです。

前項の方法で段ボール箱を持ち上げたとき、右利きの人は、段ボール箱が右の骨盤のでっぱりに触れる位置にあるはずです。

持ち運ぶときも、この位置をキープし、骨盤のでっぱりと左手で段ボール箱の片側を支えて、右手でもう片側を支えながら(肘を肋骨につけるイメージで)歩きます。

運ぶときも、段ボール箱を持つ手の位置が対角線になるようにすると、安定して運ぶことができます。

それほど重くない段ボール箱なら、骨盤のでっぱりと片手だけでも運ぶことができるでしょう。

2つの段ボール箱を重ねて運ぶときは、「上を重い段ボール箱」「下を軽い段ボール箱」にしたほうが、逆の場合よりもラクに運べます。

その理由は、体の重心と段ボール箱の重心が近くなるからです。

立っているとき、体の重心はヘソのあたりにあり、重い段ボール箱を下に持つと、段ボール箱の重心は下がりすぎます。

一方、上に重い段ボール箱を置くと、体の重心と段ボール箱2つの重心が近くなるので運びやすくなるのです。

引越しなどで効率的に運びたいとき、覚えておくと役立ちます。

【Point】

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段ボール箱を歩いて運ぶ際は、体の正面で持たないように。骨盤のでっぱりを生かして、対角線を意識して持てば軽々と運ぶことができる。

【次回】デスクワークばかりで体が固まりやすい。肩こり、腰痛解消ストレッチ/疲れないカラダ大図鑑

【まとめ読み】『疲れないカラダ大図鑑』記事リストはこちら!

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間違った体の使い方をすると不調が出やすい。基本的な動作、疲れない体を作る方法など全11章に渡り公開

 

夏嶋 隆(なつしま・たかし)

メディカルトレーナー、動作解析専門家/人間の動作を観察・記録し、科学的アプローチを背景にした「人が本来持つ力を十分に引き出す」指導を行う動作解析の専門家として活躍。アスリートからの支持は絶大で、現役のトップ選手はプロサッカー選手だけでも30名以上いる。

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『疲れないカラダ大図鑑』

(夏嶋 隆/アスコム)

自粛生活が続き、運動不足、身体動作の制約を受けて体の不調を訴える人も増えています。そういう人は疲れやすい体になってしまっているそう。人には体の作りに合った立ち方、座り方、歩き方があり、それが疲れにくい体を手に入れる第一歩。そんな体の基礎を築きたい人のための一冊です。

※この記事は『疲れないカラダ大図鑑』(夏嶋隆/アスコム)からの抜粋です。
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