自粛生活により運動不足、また身体動作の制約を受けて体に不調を訴える人も少なくありません。そもそも人間の体は基本的な立ち方、座り方、歩き方があると言います。そこで動作解析の専門家・夏嶋隆さんの著書『疲れないカラダ大図鑑』(アスコム)から体の基本的な姿勢、疲れないカラダのノウハウをご紹介します。
【前回】少し重い物を運ぶと疲れる。実は、荷物の持ち方・運び方にはコツがある/疲れないカラダ大図鑑
【最初から読む】疲れない立ち方を身につけて体のストレスを減らせば日常から得をする/疲れないカラダ大図鑑
肩こり解消ストレッチ
肩が重くてダルいと、腕を上げる(胸を開く)動作をしにくくなってきます。
ガチガチに固まった肩は、まるで鉄の重石を背負っているように感じられます。
それを解消しようと、左右の肩甲骨を寄せて、胸を開くようなストレッチをしている人も多いようです。
このストレッチは一時的には気持ちいいです。
ですが、動くようにしたい方向と同じ向きに筋肉を伸ばす動作をすると、伸びた筋肉が戻ろうとするため、肩こりを悪化させてしまう危険があります。
肩こりの解消には、動くようにしたい方向と逆の向きに力をかけるストレッチをするようにしましょう。
【肩こり解消ストレッチのやり方】
・右手で左肘をつかみ、胸の前に持ってくる
・左腕を左方向へ引くように力を入れる(それを右手で押さえて動かないようにする)
・1回10秒。
左右の手を入れ替えて行なうこのストレッチをすると、筋肉を伸ばしている感覚はありませんが、終えたとき、肩まわりがフワッと軽くなっているのを感じられるはずです。
肩こりにお悩みの人は、すきま時間を見つけて、1日に何度でも行なってみてください。
【Point】
肩こりを解消したいときは、右手(左手)で左肘(右肘)をつかみ、左腕(右腕)を左(右)方向へ引くように力を入れると、肩まわりがフワッと軽くなる。
腰痛解消ストレッチ
世間では、腰痛に効くとされるストレッチや体操がたくさん紹介されています。
しかし、腰痛の難しいところは、痛みの原因は人それぞれで、そのストレッチをすれば誰もが腰痛がよくなる、とは断言できないことです。
効果を感じられる人もいれば、感じられない人もいるのが現実だと思います。
そこでここでは、大多数の人が気軽にできて、かつマッサージを受けたかのような気持ちよさを感じられるストレッチ法を2つお伝えしたいと思います。
この2つで腰痛対策は万全とは言えませんが、気軽に続けられるので習慣化しやすいでしょう。
【腰痛改善ストレッチ1 腰を丸めてしゃがむ】
(1)起立し、腰を少し丸くする
(2)腰を丸めたまま、かかとをつけてしゃがむ(かかとが上がってしまう人は、家具などの動かないものにつかまって、かかとは上げないようにする)
(3)その状態を10秒キープ
・以上を5セット
これだけです。
腰痛に悩んでいる人の多くは、反り腰が習慣化しています。
つねに腰の筋肉が伸びている状態です。
伸びている筋肉に縮める動作を与えてあげることで、腰がずいぶんと楽になるのを感じられるはずです。
かかとを床につけたまましゃがめない人は足首が固いのが原因だと思いがちですが、じつは反り腰が常態化しているため、体幹のバランスが崩れているのが原因のことが非常に多いです。
このストレッチを習慣化すれば、徐々に反り腰を改善できるので、腰痛が楽になっていくことが見込めるでしょう。
◆腰痛を治したければペンギンになれ
2つ目のストレッチ法は以下のとおりです。
【腰痛改善ストレッチ2 ペンギン体操】
(1)起立し、両腕を肘から曲げる
(2)両腕の肘から先を、左右に素早く振る(ペンギンが羽をパタパタ振っているように。肘から先だけ動かし、肩や体は動かないように)
(3)90秒行なう肩や上体を固定して、肘から先だけを素早く動かすと、腰の筋肉への気持ちいいマッサージになります。
運動習慣の少ない人や、デスクワークや立ち仕事で同じ姿勢になっている時間が長い人は、ペンギン体操をして定期的に腰の筋肉に刺激を与えるようにしましょう。
腰痛予防に効果的です。
繰り返しますが、「腰痛はこれで治る」というストレッチや体操はありません。
普段の「歩き方」「座り方」「立ち方」などの姿勢や動作の結果として、腰痛は現れてきます。
「疲れない姿勢・動作」は、すべて重力のダメージを軽減してくれるものです。
重力のダメージが軽減すれば、腰にかかる負担も減り、腰痛の予防や改善につながります。
腰痛にお悩みの人は、日常生活において「疲れない姿勢・動作」を心がけて、腰を労ってあげるようにしましょう。
【Point】
両腕の肘から先を左右に素早く振る「ペンギン体操」は、腰痛改善に効果的。
間違った体の使い方をすると不調が出やすい。基本的な動作、疲れない体を作る方法など全11章に渡り公開