アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。現在は夫婦二人と3ニャンとで暮らしています。今から20年以上前、私の嫁時代の体験を思い出しながら書いています。
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父が亡くなり、あわただしく葬儀の手配に入る。
父も互助会に入っていたので、葬儀の手配は一緒に住んでいた下弟中心で進める事になった。
さて、ここで喪主は誰だと言うことになる。
通常では長男である上弟になるのだろうが、ハッキリ言って上弟は父に借金の尻拭いをして貰ったり、なんだかんだと父に心配だけでなくいわゆる迷惑を掛け続けだったので、私は喪主は下弟で良いんじゃないかと思った。
当時、私の弟二人は父が長年出入り業者をしていた会社に就職していたので、夫を含めて3人が同じ会社の社員だった。
私は、単に父は出入り業者なので、葬儀には父の仕事の関係者と、夫や弟達の会社関係者が数人チョロッと来るだけだろうと思っていた。
ところが父は社長や会長と昔からの付き合いで、父と会長は『兄弟分』と言っていたほどの仲だったからなのか、全支店にファックスが回り、なんと規模的には社葬クラスになる見通しになった。
葬儀も最初はこぢんまりとした会場を予定していたところを、会社の組合の役員たちが駆けつけて来てくれて、参列するであろう人数を夫と弟達に伝えると、急遽大きな会場に変更になったのだ。
続々と届く花輪の数が、父の今までの付き合いを表していたが、最初に予定していた会場では到底入らなかったことを知る。
会社関係者が続々と到着し、受け付けも葬儀慣れした社員が担当してくれる事となった。
それでも役職的には弟達より上司になる夫の関係もあり、私は受け付け横で弔問の方にお礼とご挨拶の為に立っていなければならなかった。
こんな状態だったので、喪主は長男である上弟でなければと言う空気になり、下弟が『喪主は兄ちゃんにして貰う』と言った。
上弟は最初から喪主になる気満々で、そのくせ自分は何もわからないからと実務は下弟に丸投げ。
上弟が通夜の弔問客から「今回は突然な事で...、喪主大変やろうけど頑張ってなぁ」と労って貰っているのを見て、「こいつは何もしていません! 何も大変じゃないです!」と言いたくて仕方がなかった。
ふと気が付くと上弟の嫁が見当たらなかったので探すと、親族控室の畳の部屋で座布団を枕にして寝転がり、上弟と同居している嫁の母親と笑い声をあげてテレビを見ていたので驚いた。
親族控室で喪主の妻が声出して笑ってんじゃねーわ!
「会社関係者が続々と来てくれてるし、上弟の上司も本社の偉いさん達も来るから、あんたも受け付け横で挨拶せなあかんよ」
そう上弟嫁に声を掛けると、嫁の母親がバツの悪そうな顔をした。
嫁の母親が「ほら! お姉ちゃんが呼びに来てくれたんだから行っといで!」と言ったが、今までテレビを見ながらヘラヘラ笑っていたくせに急に神妙な顔つきになって嫁はこう言う。
「お腹が張って無理なんですぅ~」
妊娠7ヶ月なのでそりゃあお腹が張る時もあるだろうし、しんどいのも分かるが、なにも1時間も2時間も立っていろと言う訳ではない。
ちゃんと椅子も用意するから、ご挨拶が必要な時だけ立ってもらえればいいんで、とりあえず受け付けを担当してくれている社員への挨拶くらいは【喪主の妻】としてしなければならない事を言う。
「私がですか...??」
そーだよ! あんた喪主の妻だろーが!!
と、言いたい所をグッとこらえた。
受付に上弟の直属の上司や支店長などが次々と弔問に来てくれていた。
中には「上弟君の奥様は?」と聞く方もいらっしゃったが、「お腹が大きいので中で休んでいます」と答えた。
しかしながら、裏の親族控室から漏れ聞こえる上弟嫁の笑い声は、受付のお手伝いの人には聞こえていたので、これ以上は知ったこっちゃないと割切った。
何度か控室に戻って優しく優しく促したのだが、結局通夜がはじまるまで上弟嫁は控室から出て来なかった。
通夜・告別式共に上弟嫁はこんな感じだったが、もう上弟の体面にこだわってはいられない。
ただただ、父の葬儀が滞りなく終わる事を願った。
一点だけ、これだけ父の最後の面倒を見て、必要経費も十万単位で飛んで行き、通夜・告別式も走り回って動いたとしても、焼香順が一番最後だった事は悔しかった。
上弟夫婦・下弟・夫・私の順だったが、嫁に出た娘だからしょうがないと言えばそうだが、今の今まで何もせずに寝転んで笑い声をあげてテレビを見ていた嫁の後と言うのが、たかが順番されど順番だった。
告別式が終わり、受け付けを担当してくれた方達3人に「心づけ」を渡すが、それを上弟に言うと「さぁ? 知らんで?」と言ってうるさそうに嫌な顔をし、上弟嫁に言うも「私分からないんで~」と言って逃げられた。
下弟と夫に話すと驚いたのと同時に呆れ顔をしたが、参列者の方々の対応に追われていたので私が用意しなければならなくなった。
そうこうしている内に受け付けをしてくれた方達が帰り支度を済ませて出口に歩いて行くのが見えた。
慌てて引き留めて待っていて貰い、裏で葬儀の担当さんから白封筒をご用意と両替もして頂き、『御礼』と書いてそれぞれ5千円入れた。
(ちなみに姑の葬儀の際も夫の部下さんが受け付けをしてくれたので同額を包みました)
全ての参列者を見送って、やっと終わったとホッとして私たちも帰る支度をしようと控室に戻った時だった。
下弟「なんで兄ちゃんが香典持って帰るんや!」
上弟「香典は喪主が総取りに決まっとるやろ!」
上弟と下弟が怒鳴り合っていた。
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