こんにちは山田あしゅらです。
『13番さんのあな―介護家庭の日常―』というブログで義両親の介護の様子を嫁の目線で綴り始めて10年以上が経ちました。義両親と同居しながら介護をしていた当時のことを思い出しながら書いています。
前回の記事:介護にはつかず離れずのスタンスが必要/山田あしゅら
矍鑠(かくしゃく)としているようで少々おかしい。
そんな義父との関わりはなかなか容易なものではありません。
ある雨の日
義父が性懲りもなく出かけようとしていました。
ただでさえ歩行が危なっかしいのに雨の中出掛けるなんてとんでもない。
そもそも何で、こんな中わざわざのりとカッターナイフを買いに行かないといけないのでしょうか?
しかし
義父に「何で?」は通じないのです。
もちろん、速攻で止めました。
この日は買い物に行かない予定だったのですが
こうでも言わないと義父は納得せず、買い物強行は阻止できませんからね。
結局「カッターとのりを買いに行く」というのは
「買い物をお願いします。」が言えないためのパフォーマンスだったようです。
当時、私は義父たちの居室を『魔窟』と呼んでいました。
元々非常に几帳面な性格だった義父ですが、精神的に不安定な時期があったことや病気で身体が不自由になったことも影響しているのでしょう。
この2階の居室は物があふれ、ゴミ屋敷ならぬゴミ部屋。
まさに魔窟の様相を呈しておりました。
しかし、義父は
自分の部屋にあるものに触れさせようとしません。
賞味期限の切れたアブない食品はお腹を壊されるとこちらが困りますので、見計らってコソッと処分することもありましたが
→「冷蔵庫に入れておけば大丈夫!」賞味期限切れだらけの義両親の冷蔵庫
それ以外はなるべくノータッチ。
なにしろ、義父は毎日ほとんどこの『魔窟』で過ごしていますし
もし、居ない時があったとしても記憶力がしっかりしている義父のこと。
下手に片づけて「アレがない」だの「コレがない」だのトラブルが生じるのはご免です。
だから魔窟に足を踏み入れるのは
義母の介助をする時とか、たまったゴミ袋を片付けたり、おしっこ布団を日に干したりする必要最低限としていました。
それらも要らぬ嫌疑をかけられないよう、ササっと短時間の滞在で済ませます。
その時にたまたまですがデジカメやら、カッターやら、ホチキスやら
雑多なものが重複して置いてあるのを見たことがあるのです。
後日夫が見に行くと(こういう場合、確認などは実子である夫の役目です)
やはり何本かのカッターが見つかりました。
ただし使っているうちに壊してしまうことが多いようで
どれも不備があって、使えるものはほとんどありません。
かくして、『魔窟』にはガラクタがあふれていく・・・。
そんな感じで、私たちも見て見ぬふりのスタンスを続けていました。
ただ
こんな怖いこともありました。
これは別の日のこと。
7人が死傷したという住宅火災のニュースをワイドショーで報じていました。
一家8人のうち逃げ出すことができたのは80代のおばあさんのみ。
火事の原因はタコ足配線だったそうです。
その話題について義父と話していると
と、言います。
びっくりしてすぐに『魔窟』へ見にいくと
なんと
部屋の隅で使っていた延長コードの差込口が1か所焦げているではありませんか。
一瞬で背筋が凍りました。
物にあふれた義父の魔窟です。
他の可燃性のものにショートした火花が燃え移らなかったのは幸いでしたし
住宅火災のニュースがきっかけとはいえ
以前の義父だったら自分に都合の悪いことは黙っていたでしょうから
大事に至る前に話してくれて本当に助かりました。
タコ足配線のように無理な負荷をかけた場合
乾燥した時期に発火しやすいだけではなく
湿度が高い時期でもプラグ周辺にたまったホコリが湿気を帯び
それがショートの引き金になることもあるそうです。
このことは
仕事から帰って来た夫に
即、報告。
『魔窟』のタコ足配線の対処改善をしてもらったのは言うまでもありません。
しかし、『魔窟』に対して
見て見ぬふりを決めこむのもそろそろ限界かも知れないと
身をもって思い知った出来事でした。
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