【本作を第1回から読む】インターンシップは「スタンプラリー化」している!? 参加率87.6%の学生が「本当に知りたいコト」
『静かに退職する若者たち』 (金間大介/PHP研究所)第2回【全5回】
1on1をして少し経ったころ、部下が前兆なしに退職をした...そんな話を聞いたことはありませんか? 若者たちが退職する裏には、彼らの世代特有の悩みが隠れているかもしれません。金沢大学融合研究域融合科学系教授の金間大介氏は、著書『静かに退職する若者たち』にて、若者目線からこの問題に向き合い、上司や先輩の課題に寄り添いました。新卒や第二新卒の入社を控えたいま、世代間における価値観の差や求められるスキルについて考えてみませんか。
※本記事は金間大介著の書籍『静かに退職する若者たち 部下との1on1の前に知っておいてほしいこと』(PHP研究所)から一部抜粋・編集しました。
みんなが5回行くから、自分も5回
いろいろな意味で頭が混乱してきたので、ちょっと整理しよう。
ここ数年、インターンシップ参加数は顕著に増加傾向にある。特に大学3年生は、ほぼ全員が参加している状態だ。
その回数は平均5~6回。その多くはワンデーだ。
ここで1つ、データにはないことが気になって、僕の方で少しだけ調査した。
気になったこととは、「なぜ5回なの?」という点。
結果、ほぼすべての回答が次の2点に集約される。
「周りがだいたいそのくらいだから」と、「夏休みの長さとかバイトの関係で、そのくらいがちょうどいいから」。
ちょっと待て、と思う。
本来のインターンシップの目的は、自分の適性を見極めるためとか、自分の能力を伸ばす、あるいは自らの力を試すためにあるはず。
であれば、参加回数もその文脈で語られるべきなのに、誰もそんなことは言わない。例えば、「コミュニケーション力に不安があったので、あえて営業系の5つに絞った」とか、「2つの職種で迷っているので、それぞれ3つチョイスした」とか、そんな理由があってもおかしくないのに。
だが実際のインターンシップは、もはや学生たちにとっての義務であり、ルーチンであると同時に、「早期選考から漏れたら終わる」がゆえのノルマであり、必須のスタンプラリーのようなものと化している。
同級生の多くが5回行くというから、自分も5回。うち1回は長期にしておいた方がいいというから、自分も1回は1週間以上のものを選ぶ。
個人のために設計されたインターンシップなのに、あっという間にベルトコンベアーの様相を呈する。まさに、唯一無二の存在を目指す量産型大学生にピッタリというべきか。